なるほど労働基準法
働き方改革関連法の対応
なるほど労働基準法では、2019年4月1日から施行されている【働き方改革関連法】(正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」)の対応は完了しています。
【働き方改革関連法】は、労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法、パートタイム労働法、労働契約法などの法律が、横断的・一体的に改正されたものです。
その中でも、労働基準法については、次の項目に関する改正が行われました。
- フレックスタイム制の清算期間の延長(労働基準法第32条の3第2項、第3項、第4項、第32条の3の2)
- 時間外労働の上限規制(労働基準法第36条第2項、第3項、第4項、第5項、第6項、第10項、第11項)
- 年5日の年次有給休暇の確実な取得(労働基準法第39条第7項、第8項)
- 高度プロフェッショナル制度(労働基準法第41条の2、第2項、第3項、第4項、第5項)
労働基準法の本則の条文に加えて、施行規則についても同時に改正された部分がありますので、こちらも併せて追加、修正しています。
- 労働条件の明示の方法(労働基準法施行規則第5条)
- 過半数代表者(労働基準法施行規則第6条の2)
なるほど労働基準法 〜 採用から退職、罰則まで 〜
労働基準法には、採用から退職、罰則まで、様々な規定が置かれています。ここでは、次のように分類しています。
- 労働基準法の原則(労働基準法の原則的な考え方、労働者の定義など)
- 採用(採用するときの手続き、契約内容に関する制限など)
- 解雇と退職(解雇するときの手続き、解雇が制限されるケースなど)
- 賃金(賃金の支払い方法、平均賃金の計算方法など)
- 残業(残業を命じられる条件、残業手当の計算方法など)
- 労働時間(労働時間の原則的なルール、特殊な労働時間制度など)
- 有給休暇(有給休暇の付与日数、与え方など)
- 休憩と休日(休憩、休日の基準、休憩、休日の与え方など)
- 年少者(18歳未満の年少者を働かせることができる条件など)
- 女性(妊産婦)(妊娠中、産後1年以内の女性の保護など)
- 就業規則(就業規則の作成義務、就業規則の位置付けなど)
- 労働基準法違反(労働基準法違反に対する罰則、労働基準監督署の権限など)
- 災害補償(仕事が原因で従業員が怪我をしたときに、会社が補償する内容など)
- 職業訓練(職業訓練をしている場合の特例、徒弟制度の悪弊の排除など)
- 寄宿舎(寄宿舎の設備の基準、寄宿舎規則の作成など)
- その他(その他、労働基準法に関連する雑多な内容)
労働基準法とは
「労働基準法」とは、労働条件の最低基準を定めた法律です。また、「労働条件」とは、労働時間、休憩、休日、休暇、賃金、残業手当など、従業員が働く上での待遇のことを言います。
労働基準法では、労働条件の最低基準が具体的に1つ1つ定められていて、会社はそれらの基準をクリアする必要があります。
労働基準法では他にも、会社が採用や解雇をするときのルール、災害補償、職業訓練、寄宿舎等についても定められています。
雇用関係においては、会社の立場が強いので、労働基準法では、従業員を保護する内容、つまり、会社に対して義務付ける内容が大部分を占めています。
なるほど労働基準法
労使間でトラブルが生じたときに、会社が対応を間違えると、裁判に訴えられたり、労働基準監督署に駆け込まれたり、労働組合に助けを求められたりして、会社は様々な事態に巻き込まれます。
もし、会社が労働基準法に違反していなかったとしても、トラブルが表面化すると、会社は費用や時間を失うだけで、得る物は何もありません。
トラブルが表面化する前には、必ず、その予兆(従業員から相談・要望・苦情など)があります。会社は、予兆の段階で解決することが大事です。
従業員から労働基準法に関連する相談等があった場合に、会社が法律違反をしていれば是正する。簡単にできないのは分かりますが、トラブルが大きくなることを考えると、その前に是正するのが賢明です。
場合によっては、従業員の勘違いということもあるでしょう。従業員に労働基準法の条文、施行規則等の根拠を示して、丁寧に説明すれば納得してもらえるはずです。
予兆の段階で「なるほど労働基準法」を活用して、法律違反なのか、従業員の勘違いなのか、明らかにすればトラブルの拡大を防止できます。それは従業員にとっても有益なことです。
「なるほど労働基準法」では専門外の方でも理解しやすいように、会話形式で紹介しています。労働基準法に関して従業員から相談等があった際に、役立ててもらえると嬉しいです。
社会保険労務士 木下貴雄