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岩手銀行事件 事件の概要

給与規程に、「扶養親族を有する世帯主たる行員に対して、家族手当を支給する」という規定があり、その支給対象者が、「前項の世帯主たる行員とは、自己の収入をもって、一家の生計を維持する者をいい、その配偶者が所得税法に規定されている扶養控除対象限度額を超える所得を有する場合は、夫たる行員とする。」と定められていました。

この給与規程に基づいて、当初は女性従業員に対して家族手当が支給されていたのですが、その後、その夫の収入が増えて、所得税法に規定されている扶養控除対象限度額を超える所得を得ることになりました。

これ以降、それまで支給されていた家族手当の支給が停止されたため、女性従業員が会社に対して、家族手当の支払いを求めて訴えました。

岩手銀行事件 判決の概要

家族手当は、扶養親族を有する従業員に対して、その家計を補助することを目的として支給している手当である。この目的に照らし合わせると、家族手当は男女という性別とは無関係なものである。

そして、男性従業員には、その妻に一定の収入(所得税法上の扶養控除対象限度額を超える所得)があっても、家族手当を支給してきた。

しかし、女性従業員には、その夫に一定の収入(所得税法上の扶養控除対象限度額を超える所得)がある場合は、世帯の生計を維持していても、実際に子を扶養していても、家族手当を支給しない。

このような取扱いは、男女の性別のみによる賃金の差別的な扱いである。したがって、給与規程の家族手当の規定は、労働基準法第4条に違反し、無効である。

解説−男女同一賃金の原則

この裁判では、男性従業員と比べて、女性従業員を不利に取り扱うことが給与規程で明示されていたため、労働基準法第4条に違反し、無効と判断しました。

家族手当等の支給要件である「世帯主」に関する裁判はいくつかあるのですが、「夫と妻のどちらか収入額が多い方」や「住民票上の世帯主」と定義して、男女を明示していないケースでは、違法性はないと判断されています。

ただし、現状では世帯主は圧倒的に男性が多く、世帯主を支給対象とするような取り扱いは、間接差別として禁止されますので、今後は世帯主を条件とすることは避けるべきです。