出張日当の相場と決め方|出張旅費規程の規定例
出張日当の相場はいくらか
- 出張旅費規程を作成しようと思っていますが、出張時の日当は、どのように決定すれば良いですか?相場はどうなっていますか?
- 出張日当の相場は、2,000円~3,000円の範囲で設定している会社が多いです。支給額は何のために支給するのかという目的を基準にして決定するのが合理的と思います。
出張日当の相場の目安
当事務所で作成した経験では、日当は2,000円前後が標準で、役職者や役員でも5,000円以下で設定している会社が多いです。傾向として、会社の規模が大きくなると、日当は高額になります。
官公庁等の調査でも同様の水準です。財務省の令和5年(2023年)のアンケート(民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート)では、国内出張の日当の平均額は2,621円と紹介されています。
| 一般従業員 | 2,000円~3,000円 |
|---|---|
| 役職者・役員 | 5,000円以下が多い |
| 日帰り出張 | 支給しない会社も多い 支給する場合は距離等の条件を設定して、2,000円程度が多い |
日当とは?支給義務はあるか
日当は、出張中の食事代や雑費など、普段より増える私的な出費を補うために支給する手当です。宿泊を伴う出張を命じた従業員に日当を支給している会社が多いですが、支給していない会社もあります。
日当の支給は、法律では義務付けられていませんので、支給するかどうか、支給額をいくらにするかは、会社が自由に決められます。言うまでもありませんが、出張業務のために生じた交通費や宿泊費等は、必要経費として会社が負担しないといけません。
就業規則(出張旅費規程)への規定
就業規則については、労働基準法(第89条)によって、労働時間や賃金等に関する事項を記載することが定められていますが、「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」も記載することになっています。
したがって、出張に関するルールを設定する場合は、就業規則に記載する必要があります。就業規則(本則)に記載しても構いませんが、通常は、本則から切り離して出張旅費規程として作成する方法が一般的です。出張旅費規程は、就業規則の一部となります。
出張旅費規程に日当に関する記載をすると、労使間の契約内容として成立しますので、会社は規程に基づいて日当の支払が義務付けられます。反対に、就業規則に日当に関する記載がなければ、従業員から日当の支払を求められることはありません。
日当の額の決め方
日当は、全員一律の額でも構いませんし、役職に応じて支給額に差を設けても構いません。日当を支給する目的は会社によって異なりますが、基本的には従業員の不満解消のために支給するケースが多いです。
- 宿泊を要する出張をすると、外食など、普段より私的な出費がかさむので、その出費に充当するために支給する。
- 出張先で実際に残業することが多いけれども、事業場外のみなし労働時間制を適用して、残業手当を支払わないので、その代償として支給する。
- 出張の移動時間に対して賃金を支払わないけれども、実際に長時間拘束するので、その代償として支給する。
誰もが出張に行きたがるようでは、高額過ぎます。誰もが出張を嫌がるようでは、低額過ぎます。日当はその中間の額で設定することが望ましいと思います。
日当の税金(非課税)の考え方
出張の費用を補う日当は、出張旅費規程に基づいて、社会通念上妥当な範囲の金額であれば、給与として課税されません。非課税となる上限額が法律で定められていませんが、相場から大きく外れた高額な日当は、課税される可能性があります。税務上の取扱いは、顧問税理士等にご確認ください。
日帰り日当を支給する基準
宿泊を伴う出張に限って日当を支給している会社が多いですが、日帰りで出張した場合も、日当を支給している会社があります。ただし、近所の客先に出掛けるような場合は支払わないと思いますので、日帰り日当を支給する基準を具体的に定める必要があります。
- 会社からの移動時間が片道90分以上
- 会社からの直線距離が100km以上
- 会社からの移動距離が100km以上
- 会社の所在地以外の他府県
これは例ですので、このとおりにする必要はありません。2つの条件を組み合わせる方法もあります。
距離(直線距離・移動距離)の測り方
距離を基準にする場合は、後から「どこからどこまでを、どの方法で測るのか」で揉めないように、規程に次の3点を明記しておきます。
- 起点:勤務地か、自宅か
- 測り方:直線距離か、実際に移動する経路の距離(移動距離)か
- 片道か往復か:片道の距離か、往復の距離か
直線距離は、地図アプリ等で2地点間を測定します。移動距離は、鉄道や自動車で実際に移動する経路の距離を基準にします。いずれも、「地図アプリで検索した最短経路」のように、誰が測っても同じ結果になる方法を定めておくと、運用しやすいです。
出張期間中の休日の日当
出張が1日2日で終わらないで長期間になると、出張中に休日を含む場合があります。その休日に勤務をした場合は、当然、休日労働として賃金と日当を支給しますが、勤務をしなかった場合に、日当を支給するかどうかで問題になります。
勤務しなかった休日を日当の支給対象外とするのであれば、出張旅費規程(就業規則)に、日当を支給しないことを定めておく必要があります。ルールを明確にするために、支給する場合も、支給することを記載しておいた方が良いでしょう。
勤務しなかった休日に日当を支給するかどうかは、どちらでも構いません。日当を支給する目的に照らして決めてください。支給しない場合の規定例は、次のとおりです。
出張期間中の休日に業務活動を行わなかった場合は、その日の日当は支給しない。
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執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。
