アルバイトの健康診断|就業規則の規定例

アルバイトの健康診断

  • アルバイトにも健康診断を受けさせないといけないのでしょうか?
  • 原則的には、アルバイトにも健康診断を受けさせないといけませんが、例外的に、受けさせなくても良い場合があります。

労働安全衛生法と健康診断

ここでは「アルバイト」で話を進めていますが、呼び方は気にしなくても構いません。パートタイマー、契約社員、嘱託、臨時従業員など、正社員でない従業員がいる場合は、それぞれ置き換えて読んでください。

労働安全衛生法において、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」ことが定められています。

次に、労働安全衛生規則(厚生労働省令)において、定期健康診断として、「事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない」ことが定められています。

このときに、「常時使用する労働者」が誰を指すのか、がポイントになります。

つまり、「常時使用する労働者」に該当する者については、健康診断を行わないといけません。一方、「常時使用する労働者」に該当しない者については、健康診断を行わなくても良いということになります。

そして、どのような者が「常時使用する労働者」に該当するかは、通達が示されています。その通達によると、次の両方を満たす者が「常時使用する労働者」に該当するとしています。

  1. 1年以上雇用している者、又は、1年以上雇用することを予定している者
    (期間を定めないで雇用している者も含みます)
  2. 1週間の労働時間が正社員の所定労働時間の4分3以上の者

その会社の正社員の所定労働時間が週40時間とすると、週30時間以上勤務しているかどうかが目安になります。

なお、1.を満たしていて、週20時間以上勤務している者については、健康診断を実施することが望ましいとされています(義務ではありません)。

以上の取り扱いは、雇い入れ時の健康診断についても同じです。

労働安全衛生規則(厚生労働省令)において、雇入時の健康診断として、「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない」と定められています。

雇い入れ時の健康診断についても、「常時使用する労働者」が対象者になっています。

労働安全衛生法による法律的な取り扱いは、以上のとおりです。

就業規則と健康診断

就業規則の内容は、労働基準法や労働安全衛生法で定められている内容(最低基準)をクリアしていないといけません。

また、就業規則の内容が、労働基準法や労働安全衛生法で定められている内容(最低基準)より有利に定められている場合は、就業規則の内容が優先して適用されます。

アルバイトに適用する就業規則を確認してください。そこで、健康診断に関する規定がどのようになっているのかが重要です。

「1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満の者、又は、1年以上雇用する見込みがない者には、健康診断を省略することがある」といった規定がある場合は、その規定に基づいて該当する者の健康診断を省略できます。

一方、健康診断を実施することが定められていて、上のような除外規定がない場合は、就業規則に基づいて、労働条件に関係なく、全てのアルバイトに対して健康診断を実施することが義務付けられます。健康診断は、社員にとっては権利でもありますし、義務でもあります。

会社として、全員に健康診断を受けさせたいのであれば、就業規則に除外規定を設ける必要はありません。しかし、短期雇用の学生アルバイト等がいて、全員に受けさせる必要がない場合は、除外規定を設けるようにしてください。

健康診断について