派遣企業の就業規則
派遣企業の就業規則
- 派遣企業を設立する予定ですが、就業規則に規定しなければならない事項があるのでしょうか?
- 労働者派遣事業の許可申請にあたって、就業規則に記載しなければならない事項が定められています。
労働者派遣業と就業規則
労働者派遣法が改正されて、平成27年9月30日から施行されています。
この法改正に関連して、労働者派遣事業の許可を受ける際は、就業規則を提出することになっていて、次の内容が許可基準として追加されました。許可の有効期間が経過して、更新する場合も同じです。
- 派遣労働者のキャリア形成支援制度があること
- 無期雇用派遣労働者を派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと。また、有期雇用派遣労働者についても、派遣契約の終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと
- 労働契約期間内に派遣契約が終了した派遣労働者について、次の派遣先を見付けられない等、派遣企業の責に帰すべき事由により休業させた場合には、労働基準法第26条に基づく休業手当を支払う旨の規定があること
就業規則に関連する部分だけで、他の許可基準は省略しています。それぞれの項目ごとに、具体的には次のとおりで、作成をする就業規則に追加する必要があります。
1.キャリア形成支援制度
派遣元企業は、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るために、教育訓練を実施することが義務付けられています。
適正に実施することを確認するために、作成をする就業規則には、次の内容を規定している必要があります。
- 教育訓練を実施すること
- 教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うこと
2.解雇事由
労働契約(雇用契約)と派遣契約は別々の契約です。労働契約を解約(解雇)するときは、労働契約法によって正当な理由が必要とされています。派遣契約が終了したとしても、正当な解雇理由とは認められません。
要するに、派遣契約が終了したことを理由として、解雇することはできません。就業規則には、次の内容を解雇事由として規定することが禁止されています。
- 無期雇用派遣労働者について、派遣契約が終了したこと
- 労働契約が存続している有期雇用派遣労働者について、派遣契約が終了したこと
3.休業手当
派遣契約が終了したとしても、労働契約(雇用契約)が継続している場合は、派遣元企業は賃金を支払わないといけません。
次の派遣先が見付からないで、派遣労働者を休業させる場合は、労働基準法に基づいて、休業手当(平均賃金の6割)を支払うことが義務付けられます。
適正に休業手当を支払うことを確認するために、作成をする就業規則には、次の内容を規定している必要があります。
- 無期雇用派遣労働者又は有期雇用派遣労働者で労働契約期間内に派遣契約が終了した者について、次の派遣先を見付けられない等、会社の責に帰すべき事由により休業させた場合は、労働基準法第26条に基づいて休業手当を支払うこと
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。