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大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件 事件の概要

マンションの管理員として夫婦で会社に雇用され、住み込みで就労していました。

従業員の所定労働時間は午前9時から午後6時まで、休憩時間は正午から午後1時までの1時間とされていました。

ただし、月曜日から金曜日までの平日については、所定労働時間外の午前7時から午前9時までの時間、及び、午後6時から午後10時までの時間に、管理員室の照明の点灯と消灯、ごみ置場の扉の開閉、冷暖房の運転開始と運転停止などの業務を行うよう会社から指示されていました。

また、住民の要望に応じて、午後10時まで宅配便の受渡しなどを行っていました。

更に、土曜日、日曜日、祝日も、平日と同様に業務を行っていたと主張して、就業規則で定められているとおり、時間外労働及び休日労働に対する割増賃金の支払いを請求しました。

大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件 判決の概要

労働基準法第32条の労働時間とは、従業員が会社の指揮命令下に置かれている時間を言う。

実際に作業していない時間(「不活動時間」)が労働基準法上の労働時間に該当するかどうかは、従業員が会社の指揮命令下に置かれていたかどうかによって、客観的に定まるものである。そして、従業員が実際に作業をしていないというだけでは、会社の指揮命令下から離脱しているとは言えない。

不活動時間において、従業員が労働から離れることを保障されて初めて、会社の指揮命令下に置かれていないと言える。一方、不活動時間であっても、労働からの解放が保障されていない場合は、従業員は会社の指揮命令下に置かれていると言える。

したがって、不活動時間において、業務が義務付けられている場合は、労働からの解放が保障されているとは言えず、労働基準法上の労働時間に当たる。

平日の時間外労働について、午前7時から午後10時までの時間は、住民が管理員による対応を期待し、従業員としても、住民からの要望に随時対応できるようにするために、事実上待機せざるを得ない状態に置かれていた。

したがって、平日の午前7時から午後10時までの時間(正午から午後1時までの休憩時間を除く)については、従業員は不活動時間も含めて、会社の指揮命令下に置かれていたものであり、労働基準法上の労働時間に当たる。

土曜日についても、平日と同様、午前7時から午後10時までの時間(正午から午後1時までの休憩時間を除く)は、不活動時間も含めて、労働基準法上の労働時間に当たる。

しかし、土曜日は、会社から従業員に対して、1人で業務を処理するよう指示していて、従業員も承認していた。また、土曜日の業務量は1人で処理できる程度であったことから、土曜日については、2名のうち1名のみが業務に従事したものとして労働時間を算定するのが相当である。

日曜日及び祝日については、管理員室の照明の点灯と消灯、ごみ置場の扉の開閉以外には業務を義務付けられていなかった。また、待機が命じられた状態でもなかったため、従業員は労働からの解放が保障されていたと言える。

したがって、日曜日及び祝日については、管理員室の照明の点灯と消灯、ごみ置場の扉の開閉その他会社が明示又は黙示に指示したと認められる業務に現実に従事した時間に限って、休日労働又は時間外労働を行ったと言うべきである。

病院への通院、犬の運動に要した時間については、管理員の業務とは関係のない私的な行為であり、管理員の業務の遂行に伴う行為とは言えない。これらの時間については、従業員は会社の指揮命令下にあったとは言えない。

解説−労働時間の原則(1日8時間)

マンションに住み込みで勤務をする管理員の労働時間について争われた裁判です。

住み込みで勤務をする場合は、勤務時間と私的な時間の区別が難しいため、会社と従業員がそれぞれ自分にとって都合の良いように考えて、トラブルになりやすいです。

実際に作業をしていた時間は当然、労働時間として、会社は賃金(時間外勤務手当)を支払う義務があります。

また、実際に作業をしていない時間についても、何かあったときには随時対応するよう会社が指示をしている場合は、待機中で会社の指揮命令下に置かれているものとして、労働基準法上の労働時間に当たると判断されました。

労働時間にならないようするためには、従業員に待機をさせないことが大事です。これにより、労働から解放されたと判断されることになります。ただし、その場合は、随時対応を求めることは不可能になります。

また、断続的に業務を行う必要がある場合は、労働基準法第41条3号による監視断続的労働の許可を得られないか検討をするべきです。これが認められれば、無用な心配をしなくても済むようになります。