遅刻の常習犯
遅刻の常習犯
遅刻を放置していると、周りの社員は「どうして上司は注意しないんだ」「なんで、アイツだけ許されるんだ」と不満を抱きます。
そして、職場の一体感が失われ、徐々に会社の業績にも悪影響が生じます。
そうなる前に、会社は対処しないといけません。遅刻の常習犯に対して、会社はどのように対処すればいいのでしょうか。
遅刻の原因は?
遅刻という現象は、その社員が何らかの問題を抱えているという分かりやすい信号です。まずは、本人と話し合って遅刻の理由を聞きましょう。
同僚や上司との人間関係、仕事のやりがい、プライベートで問題を抱えているかもしれません。複数の問題がある場合もありますが、根本の原因が分かれば、対処法も自ずと決まってきます。
また、「遅刻をしないためにはどうしたら良いのか?」を本人に考えさせることも有効です。
そもそも遅刻が悪いことと思っていない?
特に若い社員に多いのですが、遅刻は悪いこととは思っているけれども、上司が思っているほど悪いこととは思っていないケースがあります。
これまで遅刻を見逃してきた上司の対応にも問題があります。なぜ遅刻がいけないのか、”当たり前のこと”で済ませないで、
- 「朝礼に不参加だと二度手間になる」
- 「会議を始められない」
- 「お客さんに、他の社員に、(このような具体的な)迷惑が掛かる」
- 「他の社員の士気に悪影響が出る」
- 「遅刻するような人間に大事な仕事は任せられない」
など、会社によって色々あると思います。遅刻の重大さを説明して、納得させて下さい。
単なる怠け、様子見をしている?
「仕事はきちんとしてるんだから、ちょっとぐらいの遅刻は見逃してもらえるだろう」、「どれぐらい遅刻したら言ってくるのかな?」と様子見をしているのかもしれません。
毅然とした態度で臨むことです。就業規則の遅刻に関する規定を確認して、就業規則に基づいた一貫性のある懲戒処分を行うべきです。
まずは、口頭で注意をして、改善されない場合は戒告処分(始末書の提出)を言い渡します。
当然ですが、いきなり解雇をしても、認められません。解雇までには慎重に、手順を守らないと不当解雇と訴えられてしいます。
なお、始末書の提出や減給等の懲戒処分は就業規則に基づいて適正に行って下さい。会社の恣意的な判断で行うことはできません。
うつ病の兆候か?
うつ病の症状として、不眠から遅刻や欠勤が多くなるケースがあります。
眠れないと言う場合は、「疲れが溜まっているようだから」と医療機関での受診を勧めましょう。うつ病の方に「頑張れ!」というのは余計なプレッシャーとなりますので言わないようにして下さい。
上司はメンタルヘルスの専門家ではありませんので、上司も自分で問題を抱え込まずに、専門家の力を借りることも必要です。
ヤル気がなくなっている?
仕事にやりがいを感じていれば、遅刻や欠勤は少ないはずです。
このような場合に遅刻の注意をしても、余り効果は期待できません。
プライベートで問題を抱えている場合は、会社は積極的に立ち入ることができませんので、上司や会社にできることは限られます。しかし、どのような悩みを抱えているのか聞いてあげることも大切です。
減給の制裁
就業規則に、「月3回遅刻をしたときは欠勤1日とみなす」といった規定をしている会社もありますが、このような規定は認められません。
賃金は、働いた時間分について支払わないといけないのが原則です。働かなかった時間分の賃金は支払わなくても(1時間の遅刻に対して1時間分の減額は)構いませんが、必要以上に減額すると、労働基準法違反になってしまいます。
なお、遅刻や早退については制裁として減給処分を行うことができますが、その場合でも1日分の賃金の半額が限界(労働基準法第91条)です。
「たかが遅刻で目くじらを立てることもないだろう」という考えもありますが、どこかでストップを掛けないとズルズルと悪い方向へ行ってしまいます。
一度、徹底的に遅刻をなくせば、それが組織風土として定着しますので、何年も叱り続けることはないはずです。
(2008/8更新)
(2014/5更新)