定着率の向上

定着率が悪いと

入社した社員が、やっと一人前になって責任のある仕事を任せようと思った矢先に辞められると、会社にとって大きな痛手になります。

求人コスト、上司が指導した時間、貢献度以上に支払った賃金などを計算すると、100万円以上が無駄になるのではないでしょうか。

人件費を投資と考えると、大失敗です。

社員の定着率が悪いと、他にも、取引先の信用低下、業務の停滞などの悪影響も考えられます。その反面、社員の入替えが激しいと、業務のマニュアル化が進んだり、良い面もあったりしますが...

定着率の向上

社員が抜けた穴を埋めるために、新しく募集をするのですが、「なかなか希望する人材が集まらない」と困っている会社が増えています。

採用も大事ですが、定着率の向上が、これまで以上に大事な課題になりそうです。

定着率を向上させるために、まずは、どういった理由で退職するのか、具体的に聞きましょう。

退職する理由が分かれば、その要因を解消することで、定着率は向上していきます。

退職する理由は?

上司に問題がある

退職理由として、1位か2位と思います。

マネジャーの中には、経営者から信頼されている一方で、その下の社員からは全く信頼されていないケースがあります。下からどう見られているかといった情報は、意外に入りにくいものです。

退職理由としてこれが表に出てくることは考えにくいので、特定のマネジャーの部下の離職率が高いときは、別のルートで退職理由を探る必要があります。

賃金の不満

最近は、昇給が低水準に抑えられているため、若手の賃金がずっと低いままの会社が結構あります。

「賃金が高ければ辞めない」とは言えませんが、「子供を養えない」「住宅ローンを組めない」ような賃金では、会社を去って行くのは当然かもしれません。

同業他社との比較

同業他社と比べて労働条件が劣る場合です。

残業時間やサービス残業の有無、休日、休暇の取りやすさ、賃金、など、同業他社と比べていかがでしょうか。

将来の見通しがない

「この先、会社はどうなるのだろう」、「このまま会社にいて、私はどうなるのだろう」と、将来が不安になって、会社に見切りをつけたという理由です。

会社の方向性や価値観を共有するなど、社員とのコミュニケーションを密にすることが大事です。

定着率向上の対策

優秀な社員の下に配置する

若手を新入社員の教育係とすることで、定着率の向上につながることが報告されています。打ち解けやすく、新入社員が数年後の自分の姿を想像しやすいのが理由なのでしょう。

ただし、個人的には、教育係は若手社員に限らないで、優秀な社員の下に配置するのが良いと思います。

新卒社員にとって、最初に付いた上司の影響はとても大きいです。仕事観を形成し、その後の成長に大きな影響を及ぼします。優秀な社員で、かつ、自分の会社が好きな人であれば間違いありません。

コミュニケーション

「部下から意見が上がってこない」と嘆く経営者がいらっしゃいますが、その前に「私の考えに沿った意見しか認めない」という空気を出していませんか?

「どんなことを言っても否定されない」という安心感がないと、なかなか意見はしにくいものです。

意見を求めて、意見が出てくれば、それを彼(彼女)の意見として認めてください。同意する必要はありませんが、そう思っていることは事実です。

中には不愉快な意見も出てくると思います。しかし、顧客のクレームだけではなく、社員の不満も吸い上げて、それに対処することができれば、コミュニケーションは活発になるはずです。

一般的な離職率は?

厚生労働省の調査結果によると、平成24年の1年間の正社員の離職率は11.5%(男性10.2%、女性14.2%)となっています。

離職率は、業種や社員の年齢によって大きなバラツキがありますので、これより高いと悪い会社、低ければ良い会社と一概には言えません。

しかし、前向きに退職していく社員は良いとしても、会社に不満を持って退職していく社員が後を絶たないという状況はやはり問題です。

(2008/5更新)
(2014/5更新)