退職の意思表示

社員が退職するときは、その意思を会社に伝えれば、退職が成立します。

つまり、退職できるということで、法律的には、退職の意思表示は口頭でも構いません。

しかし、就業規則を確認して下さい。

自己都合で退職するときは、退職届や退職願といった書類での届出を義務付けているのではないでしょうか。

退職届(退職願)の重要性についてお伝えします。

退職届(退職願)の重要性

ほとんどの就業規則で、当たり前のように、退職届(退職願)の提出を義務付けているものと思います。それだけ退職届(退職願)は大事な書類ということです。

そうなのですが、特に中小企業では、退職届の重要性に気付いていないケースが稀に見られます。

退職の意思の確認

例えば、上司と部下が言い争いになって、部下が感情的になって、「もう辞める、退職する」と口走ったときに、それが本心なのかどうか分からないことがあります。

そして、会社が退職手続きを進めていると、社員から「退職は撤回したい」と申出があって、「退職すると言ったじゃないか」「いや、あの時は感情的になってしまって...」と、退職手続きを進めて良いのかどうか無駄なトラブルが生じます。

このようなときはお互い冷静になって、会社からは、「退職するのであれば、就業規則の規定に基づいて、退職届を提出するように」と説明して下さい。

その後に退職届が提出されれば、書面で退職の意思が示されていることから、冷静に考えて提出されたものとして、通常は、退職の意思表示は有効と判断されます。

退職に関して曖昧な部分を排除

社員から退職の申出があると、会社は退職手続きを進めるのですが、書類(退職届)がないと、口頭だけで、伝言ゲームのように間違って伝わってしまう恐れがあります。

やはり、社員には退職届を提出してもらって、正確な退職日や退職理由等を記載してもらうべきです。

雇用保険の離職票の作成

退職手続きの1つに、雇用保険の離職票(離職証明証)の作成があります。これは社員が退職をして、失業給付を受給するときに必要となる書類です。

離職票(離職証明証)には離職理由を記入しないといけませんし、いつまで在籍していたかによって、書類の書き方が違ってきます。例えば、賃金の計算期間が毎月15日締めで、当月25日支払いとしましょう。

このときに、締日の15日まで在籍している場合は、その月の賃金がいくらか計算をして、離職票(離職証明証)に記入しないといけません。

一方、締日でない日付(14日など)で退職する場合は、1ヶ月に満たない月は未計算として、最後の月の賃金は計算しなくても構いません。

そして、「締日で退職します」と社員が言ってきたときに、15日が普通の出勤日であれば、15日まで通常の勤務をして間違うことはありません。しかし、15日が日曜日などの休日だったときに、(通常勤務の最終日となる)14日付で退職手続きをして、会社と社員で思い違いが生じることがあります。

社会保険(健康保険と厚生年金)の保険料の控除

離職票の作成と同様に、退職日が1日違いで、取扱いが大きく変わるケースがあります。それが、社会保険料(健康保険と厚生年金の保険料)の控除です。

社会保険は1ヶ月単位で保険料を納付することになっていて、月の末日(会社の締日ではありません。カレンダーの末日です)に在籍していれば、その月の社会保険料が丸1ヶ月分掛かります。

それで、「来月の末日で退職します」と社員が言ってきたときに、その末日が休日かどうかで、離職票の場合と同様に、取扱いを誤ってしまうことがあります。

退職時は退職届を提出してもらって、正確な退職日を記載してもらう必要があります。

退職時の返却物の整理

退職届は、会社で様式を準備して、それに記載して、提出してもらう方法でも構いません。この方法が望ましいです。

その退職届の様式に、退職時の返却物の欄を設けて、退職時に分かるようにしておけば、何を返却しないといけないかという会社からの説明を簡略化できますし、返却物の指定の漏れを防ぐこともできます。

健康保険証や社員証、入館証、名刺、作業着、制服など、会社ごとに決まったものがあると思いますので整理して下さい。

退職届のダウンロード

退職届の様式の例をダウンロードできるようにしました。よろしければ、編集してお使い下さい。

特に会社で用意しない場合は、「退職届の書き方」を参考にしていただければと思います。

退職届の提出の義務付け

以上より、退職届はとても重要な書類で、退職をするときは提出を義務付けておくべきです。就業規則に、退職届を提出することを義務付ける規定を設けておきましょう。

就業規則の内容は社員と会社の契約と同じですので、就業規則に記載している内容は社員も同意していることになります。したがって、就業規則で退職届の提出を義務付けていれば、これを命じることができます。

ただし、「退職するときは3ヶ月以上前に退職届を提出しなければならない」というような、社員にとって一般的には受け入れがたい内容については無効と判断されます。通常は、1ヶ月であれば認められます。

(2014/5作成)