損害賠償の請求

社員が会社の車をぶつけたり、事務機器を壊したりして、会社に損害を与えることが、年に1回ぐらいはあるのではないでしょうか。

こんなときに、会社は社員に、損害賠償を請求できるのでしょうか?

過去の裁判例では、賠償させられるのは一部だけで、全額の損害賠償は認めれれないと判断されるケースが多いです。

なぜ、全額の損害賠償が認められない?

利益を得ているのは会社

事業活動によって利益を得ているのは会社で、損害が発生した場合にだけ、社員に負担させるのは適当ではない。

会社の指示で業務を行っている

損害が発生する可能性のある仕事をさせている、つまり、危険を作り出しているのは会社であるから、会社にも責任がある。

損害を分散できる

通常予想される損害について、会社は損害保険等を利用して損害を分散することができるが、社員はそのようなことはできない。

以上の考えから、発生の予想される損害について、社員にだけ責任を負わせるのは酷で、会社も一定割合の損害を分担すべきとされています。

損害賠償させられるのは

損害賠償の負担割合は、次のように社員の不注意の程度によって異なります。

軽度の過失

日常的に一定の確率で発生する軽度の過失(些細な不注意)によって発生した損害については、事業活動のコストとして、損害賠償の請求はできません。アルバイトがお皿を割るようなケースです。

また、社員が通常求められる注意を払っていて損害が生じた場合も、そもそも過失(不注意)がないため、会社は損害賠償を請求することはできません。

中度の過失

通常予想されるケース(軽度の過失)を超えている場合は、社員に損害賠償責任が生じます。ただし、この場合、賠償させられるのは損害額の25%程度が裁判例での限界です。

故意又は重大な過失

横領・窃盗・背任など社員が故意に発生させた損害については、全額賠償させることが可能です。

また、社員の飲酒運転や違法行為など、通常では考えられないような事故によって損害が生じた場合も、会社は相当の賠償を求めることができます。

損害賠償の負担割合の決定

損害賠償の負担割合は主に過失(不注意)の程度によって決定されるのですが、この他にも、事業の性格、規模、施設の状況、社員の業務内容、労働条件、勤務態度、損失の分散などの諸事情によっても左右されます。

損害賠償を請求する前に

損害賠償は結果論であって、まずは、安全対策や社員教育、リスクの分散を考えるべきです。

また、小さいミスでも放置しないで、マニュアルに反映させたり、対策を講じたり、できることはたくさんあると思います。

(2008/5更新)
(2014/5更新)