労働基準監督署による是正勧告

労働基準監督署による是正勧告

労働基準監督署では、定期的に会社を呼び出して、労働基準法や労働安全衛生法に違反していないか、調査を行っています。

従業員等から申告があって調査が行われるケース、労災事故が起きて調査が行われるケース、もあります。

調査の結果、法律違反が発覚したときは、労働基準監督署から会社に対して、是正勧告が行われます。

法律に違反している場合は、法律上、労働基準監督署(労働基準監督官)は、逮捕したり、送検したりできるのですが、重大な違反、悪質な違反でない限り、いきなり逮捕や送検されることはありません。

しかし、労働基準監督署から是正勧告を受けたにもかかわらず、会社が無視し続けていると、書類送検されます。そのようなことのないよう注意してください。

是正勧告の事例

では、どのような場合に是正勧告が行われるのでしょうか?

労働基準法や労働安全衛生法は100条以上ありますし、省令や施行規則も関連してきますので、専門外の方が全部を理解することは困難です。しかし、労働基準監督署で調査される内容、是正勧告が行われる事項は大抵決まっています。下に主な事項を挙げていますので、まずは第1段階として、こちらの内容をご自身でチェックしてください。

労働条件の明示

労働基準法第15条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

会社は、採用時に、賃金や労働時間といった労働条件を記載した雇用契約書(労働条件通知書など)を作成して、従業員に明示、交付しないといけません

労働基準監督署から、「最近採用した従業員の雇用契約書か労働条件通知書を提出してください」と言われて、提出できないと、是正勧告が行われます。

雇用契約書(労働条件通知書など)を作成していない場合は作成して、今後、採用する従業員に明示、交付してください。

就業規則の作成及び届出

労働基準法第89条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

従業員数が10人以上の会社は就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ないといけません。また、就業規則の内容を変更した場合も、労働基準監督署に届け出ないといけません。

「労働基準監督署の受付印を押印した就業規則を提出してください」と言われて、提出できないと、是正勧告が行われます。

従業員数が10人以上になったときは就業規則を作成して、就業規則を変更したときは、その都度、労働基準監督署に届け出てください。

労働時間

労働基準法第32条
1 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

原則的には、1週40時間、1日8時間を超えて労働させることが禁止されています。ただし、36協定を作成して、労働基準監督署に届け出ていれば、その禁止が解除されて違法でなくなります

「労働基準監督署の受付印を押印した36協定を提出してください」と言われて、提出できないと、是正勧告が行われます。また、36協定には有効期限がありますので、36協定を届け出ていても、有効期限が切れていれば同じ違反になります。

1週40時間、1日8時間を超えて労働させることがある場合は、36協定を作成して、労働基準監督署に届け出てください。また、36協定の有効期限は最長1年ですので、毎年1回は届け出る必要があります。なお、就業規則の作成は「従業員数が10人以上」という条件がありますが、36協定は従業員数に関係なく(1人でも対象者がいれば)、届け出る義務があります。

休日

労働基準法第35条
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

原則的には、1週間に1回は休日を与えることが義務付けられています。ただし、上の労働時間と同じで、36協定を作成して、労働基準監督署に届け出れば違法でなくなります。

36協定を届け出ていない状態で、休日を与えていない週があると、是正勧告が行われます。休日を与えていない週がある場合は、36協定を作成して、労働基準監督署に届け出てください。

賃金の支払

労働基準法第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

賃金は、全額を支払うことが原則で、税金や社会保険料といった法令で定められている以外のものを控除することが禁止されています。それら以外の食事代金や社員旅行の積立金などを控除する場合は、従業員の過半数代表者と労使協定を締結する必要があります。

賃金台帳を確認して、税金と社会保険料以外のものを控除しているにもかかわらず、労使協定を締結していない場合は、是正勧告が行われます。

税金と社会保険料以外のものを控除していない会社は、労使協定を締結する必要はありません。税金と社会保険料以外のものを控除している会社は、労使協定を締結してください。なお、この労使協定は届け出る必要はありません。

時間外、休日及び深夜の割増賃金

労働基準法第37条
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

時間外労働に対しては2割5分以上、休日労働に対しては3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わないといけません

賃金台帳やタイムカードを確認して、割増賃金が適正に支払われていないと、是正勧告が行われます。また、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる手当が限られているのですが、除外できない手当を除外していると、労働基準法で定められた割増賃金の金額に満たないことになりますので、その場合も同じ違反になります。

是正勧告が行われたときは、不足額について、遡及して支払うよう求められます。

健康診断

労働安全衛生法第66条
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。

会社は毎年1回、定期健康診断を行うことが義務付けられています。これを行っていない場合は、是正勧告が行われます。

協会けんぽの補助を利用する等して、定期健康診断を行ってください。

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(2016/7作成)