女性社員を積極採用

労働力人口の減少

日本の総人口が平成20年をピークにして減少傾向となっています。

労働力人口(15歳以上の就業者と完全失業者の合計)も減少していくことが確実で、企業経営においては、社員を確保することが難しくなっていきます。

今でも、「優秀な人の応募が来ない」と嘆いている中小零細企業の経営者が多いのに、今より厳しい状態になるということです。

このような状態を打開して、人材不足を補うためには、次の方法が考えられます。

  1. 高齢者に残ってもらう
  2. 女性にもっと活躍してもらう
  3. 外国人を雇用する

最近の女性は学歴も高く、コミュニケーション能力や業務改善のアイデアなど、素晴らしい能力を持っている方が多く存在します。

女性を積極的に採用することのメリットについて紹介します。人材不足が切迫してからでは、手遅れになってしまうかもしれません。

優秀な男性の採用は困難

中途採用で優秀な男性を獲得することは難しいです。

どこの会社も欲しがるような優秀な男性が仕事にあぶれることは考えにくいですし、そのような優秀な男性が転職するときは先に転職先を決めていることが多いです。

したがって、優秀な男性がハローワークに通ったりして、労働市場に出てくることは稀ですので、引き抜きでもしない限り、採用が難しいのは当然のことです。

M字カーブ

しかし、優秀な女性が、中途採用で応募してくることは珍しくありません。

出産を切っ掛けに退職して、育児が一段落したので仕事に復帰したいと思っている女性が多いのですが、一旦退職すると再就職するのは難しいようです。

M字カーブと言って、女性の就業者はM字で分布しています。M字の谷の部分に、優秀な女性が潜在しています。ここの年齢層を積極的に採用しようとする会社は少ないので、ここをターゲットにして採用活動を行えば、優秀な人材を採用しやすいという訳です。

M字カーブ

ただし、育児から完全に手が離れた状態ではありませんので、ハローワークに通ったりして、積極的に就職活動を行っている方は少ないでしょう。新聞の求人広告や折り込みチラシ、インターネットの求人サイトを使って募集をするのが効果的かもしれません。

専業主婦の活用

専業主婦の方は家庭の事情があって、「1日8時間は長過ぎて働けないけれども、1日4時間程度ならお願いしたい」と言う方が結構いらっしゃいます。

このような要望に対応できれば、専業主婦にとって応募しやすい会社になり、会社はより広い範囲で募集できるようになります。

担当業務を調整したり、サポートする社員を付けたりして、1日4時間程度で受け入れることができないか、検討する価値は十分あると思います。

また、過去に、結婚や出産で退職した女性社員がいれば、彼女達を呼び戻す方法もあります。能力は分かっていて安心できるし、仕事を教える手間が省けますので、会社にとってもメリットが大きいです。

出産、育児

「産休や育児休業を取られると困る」と言う経営者もいらっしゃいますが、実際には、それほど困ることはありません。

年金事務所に申請をして、産休や育児休業の期間を無給にすれば、この間の社会保険料(健康保険と厚生年金)は会社負担分も免除されますし、雇用保険と労災保険の保険料も掛かりません。

また、育児休業をした社員(男女とも)に対して、雇用保険から育児休業給付金(賃金の67%)が支給されます。こちらはハローワークでの手続きが必要で、育児休業の期間中は無給であったり、いくつか条件が定められています。

個人ごとに対応

「女性は責任のある仕事を避けようとする」と聴いたことがあります。平均すればそうなのかもしれませんが、そのような仕事を避けようとする男性社員もいますし、そうでない女性社員もいます。

男性だから女性だからと一括りにして考えることは、余り意味がないように思います。一人一人の特徴を個人ごとに把握して、個別に対応するべきです。

また、女性社員には補助的な仕事しかさせていない、責任のある仕事をさせていないということがあります。例えば、課長に登用すれば課長のレベルに育つのと同じように(期待外れもありますが)、女性でも責任のある仕事を任せればできるようになるものです。

女性社員を戦力化するためには、育児休業を取りやすいようにしたり、責任のある仕事を任せたり、経営者の考え方次第です。成長を待つのではなく、積極的に戦力化してみてはいかがでしょうか。

これからの経営者にとっては、「多様な社員が働きやすい職場環境を作れるか」が一番大事な仕事になります。

(2014/7作成)