パートタイマーの有給休暇

パートタイマーの有給休暇

経営者や管理職、パートタイマー本人も「パートタイマーには有給休暇がない」と思っている方が多いようです。

しかし、パートタイマーにも有給休暇を与えなければならないことが、労働基準法で定められています。

もし、パートタイマーに与えていないのでしたら、労働基準監督署から指導される前に、有給休暇の取り扱いを改めませんか?

法律的に、どのようになっているのか紹介します。

有給休暇の原則的な付与日数

有給休暇は、勤続年数の増加と共に取得できる日数が増えます。労働基準法で定められている日数は、次のとおりです。

勤続年数(年)0.51.52.53.54.55.56.5年以上
有給休暇日数(日)10111214161820

これが原則的な有給休暇の付与日数です。正社員については、この日数で就業規則で定めていると思います。

パートタイマーの有給休暇

例えば、週2日勤務のパートタイマーにも、上の表と同じ日数の有給休暇を与えることになると、何となく不公平な感じがします。

そこで、労働基準法では、1週間の所定労働時間が30時間未満で、出勤日数が少ないパートタイマーには、比例按分した有給休暇の日数が定められています。

週所定
労働日数
年間所定
労働日数
勤続年数(年)
0.51.52.53.54.55.56.5年以上
169〜21610121315日
121〜168 8 91011日
 73〜120 5 6 6 7日
 48〜 72 2 3 3 3日

この有給休暇の日数は、週30時間未満の従業員(パートタイマー等)に適用できるのですが、就業規則はどうなっていますか?この表があるかどうか、確認してください。

この表を就業規則に記載していなければ、出勤日数が短いパートタイマーにも、正社員と同じ日数の有給休暇を与えないといけません。

なお、週30時間以上のパートタイマーは、正社員と同じ日数の有給休暇になります。また、週5日勤務のパートタイマーも(例えば、週20時間勤務であっても)正社員と同じ日数の有給休暇になります。

有給休暇の賃金

月給制の正社員が有給休暇を取得したときは、通常どおり勤務したものとして処理するのが一般的です。この場合は、賃金を控除しないことで、勤務したことになります。

時間給のパートタイマーも同じように、所定労働時間勤務したものとして賃金を計算します。例えば、有給休暇を取得した日の所定労働時間が6時間で、時間給が900円とすると、【 6(時間)×900(円/時間)=5,400円 】を支払うことになります。

ところで、日によって所定労働時間が短かったり、長かったりすると、有給休暇の取得が長い日に偏ります。所定労働時間が短い日に有給休暇を取得すると、支給される賃金も低くなりますので、所定労働時間が長い日に有給休暇の取得が集中して、会社にとっては損ではないかという相談を受けます。

有給休暇を取得した日の賃金については、「平均賃金」、又は、「社会保険の標準報酬日額」で支給する方法も認められています。なお、標準報酬日額で支給する場合は、労使協定を締結することが条件になっています。

平均賃金(標準報酬日額)で支給するよう就業規則を変更すると、どの日に有給休暇を取得しても同じ金額(平均賃金、又は、標準報酬日額)になりますが、所定労働時間が短い日に有給休暇の取得が集中して、同じような不公平感が生じます。

結果的に、所定労働時間を平坦化させるしか対策がないように思います。

パートタイマーから正社員に変わったときは?

パートタイマーから正社員に変更した場合は、パートタイマーとして勤務していた期間も勤続年数に加えないといけません。

パートタイマー(例えば、週24時間勤務で、週3日出勤)として3年勤務していた者が、正社員として6ヶ月勤務したとすると、勤続3年6ヶ月になりますので、14日の有給休暇を与えることになります。

逆に、正社員として3年勤務していた者が、パートタイマー(例えば、週24時間勤務で、週3日出勤)として6ヶ月勤務したとすると、勤続3年6ヶ月ですので、8日の有給休暇を与えることになります。

要するに、勤続年数は雇用形態(正社員やパートタイマー等)に関係なく通算されて、有給休暇が付与される日に、どのような雇用形態かによって有給休暇の付与日数が決まります。

(2006/2作成)
(2014/6更新)