パートタイマーの有給休暇
パートタイマーの有給休暇
経営者や管理職、パートタイマー本人も「パートタイマーには有給休暇がない」と思っている方が多いようです。
しかし、パートタイマーにも有給休暇を与えなければならないことが、労働基準法で定められています。
もし、パートタイマーに与えていないのでしたら、労働基準監督署から指導される前に、有給休暇の取り扱いを改めませんか?
法律的に、どのようになっているのか紹介します。
有給休暇の原則的な付与日数
有給休暇は、勤続年数の増加と共に取得できる日数が増えます。労働基準法で定められている日数は、次のとおりです。
勤続年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
有給休暇日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
これが原則的な有給休暇の付与日数です。正社員については、この日数で就業規則で定めていると思います。
パートタイマーの有給休暇
例えば、週2日勤務のパートタイマーにも、上の表と同じ日数の有給休暇を与えることになると、何となく不公平な感じがします。
そこで、労働基準法では、1週間の所定労働時間が30時間未満で、出勤日数が少ないパートタイマーには、比例按分した有給休暇の日数が定められています。
週所定 労働日数 | 年間所定 労働日数 | 勤続年数(年) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5年以上 | ||
4 | 169〜216 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15日 |
3 | 121〜168 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11日 |
2 | 73〜120 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7日 |
1 | 48〜 72 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3日 |
この有給休暇の日数は、週30時間未満の従業員(パートタイマー等)に適用できるのですが、就業規則はどうなっていますか?この表があるかどうか、確認してください。
この表を就業規則に記載していなければ、出勤日数が短いパートタイマーにも、正社員と同じ日数の有給休暇を与えないといけません。
なお、週30時間以上のパートタイマーは、正社員と同じ日数の有給休暇になります。また、週5日勤務のパートタイマーも(例えば、週20時間勤務であっても)正社員と同じ日数の有給休暇になります。
有給休暇の賃金
月給制の正社員が有給休暇を取得したときは、通常どおり勤務したものとして処理するのが一般的です。この場合は、賃金を控除しないことで、勤務したことになります。
時間給のパートタイマーも同じように、所定労働時間勤務したものとして賃金を計算します。例えば、有給休暇を取得した日の所定労働時間が6時間で、時間給が900円とすると、【 6(時間)×900(円/時間)=5,400円 】を支払うことになります。
ところで、日によって所定労働時間が短かったり、長かったりすると、有給休暇の取得が長い日に偏ります。所定労働時間が短い日に有給休暇を取得すると、支給される賃金も低くなりますので、所定労働時間が長い日に有給休暇の取得が集中して、会社にとっては損ではないかという相談を受けます。
有給休暇を取得した日の賃金については、「平均賃金」、又は、「社会保険の標準報酬日額」で支給する方法も認められています。なお、標準報酬日額で支給する場合は、労使協定を締結することが条件になっています。
平均賃金(標準報酬日額)で支給するよう就業規則を変更すると、どの日に有給休暇を取得しても同じ金額(平均賃金、又は、標準報酬日額)になりますが、所定労働時間が短い日に有給休暇の取得が集中して、同じような不公平感が生じます。
結果的に、所定労働時間を平坦化させるしか対策がないように思います。
パートタイマーから正社員に変わったときは?
パートタイマーから正社員に変更した場合は、パートタイマーとして勤務していた期間も勤続年数に加えないといけません。
パートタイマー(例えば、週24時間勤務で、週3日出勤)として3年勤務していた者が、正社員として6ヶ月勤務したとすると、勤続3年6ヶ月になりますので、14日の有給休暇を与えることになります。
逆に、正社員として3年勤務していた者が、パートタイマー(例えば、週24時間勤務で、週3日出勤)として6ヶ月勤務したとすると、勤続3年6ヶ月ですので、8日の有給休暇を与えることになります。
要するに、勤続年数は雇用形態(正社員やパートタイマー等)に関係なく通算されて、有給休暇が付与される日に、どのような雇用形態かによって有給休暇の付与日数が決まります。
(2006/2作成)
(2014/6更新)