テレワークのメンタルヘルス

テレワークのメンタルヘルス対策

新型コロナウイルスの感染を防止する措置として、テレワーク(在宅勤務)を導入する企業が増えました。テレワークを行っても業務に支障が生じなかった企業については、テレワークを希望する従業員が一定数いることから、今後も働き方の選択肢の1つとして定着することが予想されます。

その一方で、近年はメンタルヘルスが注目されていますが、テレワークをする従業員については、メンタルヘルスの対策が難しくなります。実際に会うと、「疲れてそう」など周囲の者が異変(予兆)に気付きやすいです。しかし、オンライン会議やメールの送受信から、そのような異変に気付くことは難しいですし、テレワークは接する人数が減少しますので、更に異変を見逃しやすくなります。

テレワークがメンタルヘルスに与える影響としては、良い面と悪い面の両方があります。

ストレスが軽減する要因

ストレスが増加する要因

メンタルヘルス不調の予防

チェックリストの活用

厚生労働省から、次のようなチェックリストが公開されています。

これらは専門家の意見を集めて作成したものですので、社内で一から検討して作成するより効率的です。結果に基づいて、従業員に相談を促すなどして、積極的に活用することが望ましいです。

ストレスチェックの集団分析

労働安全衛生法によって、従業員数が50人以上の会社は、年1回ストレスチェックを実施することが義務付けられています。この結果を利用して、10人以上の集団を対象にして、分析する方法があります。分析した結果を踏まえて、職場環境の改善を図ります。

アンケートの実施

テレワークをしている従業員に対して、ストレスを感じていることや問題が生じていないか等、アンケートやヒアリングを実施して、職場環境の改善を図ります。チェックリストより具体的な回答が得られます。

知識の習得

メンタルヘルスやストレスについて、正しい知識を持っていれば、事前に自分自身や部下の状況に気付いて、的確に対応しやすくなります。そのために、メンタルヘルスやストレスに関連する資料の提供や研修の受講が有効です。

また、厚生労働省の委託事業として、「こころの耳」というサイトが開設されています。メンタルヘルス対策について、役立つ情報が掲載されていますので、積極的に活用すると良いでしょう。

衛生委員会の審議

従業員数が50人以上の会社は、衛生委員会を設置して、健康障害の防止や健康の保持増進に関する事項について、調査・審議することになっています。50人未満の会社も、メンタルヘルスについて、労使間で話し合って計画的に取り組むことが望ましいです。

長時間労働の防止

長時間労働を防止するためには、始業時刻と終業時刻を記録して、労働時間を適切に把握することが第一です。そして、所定労働時間外のメールの送信を禁止する、システムへのアクセスを禁止する、時間外勤務や休日勤務は許可制にする、といった対策が考えられます。

コミュニケーションツールの活用

スムーズに仕事の相談や打合せができるように、オンライン会議(Zoom等)やチャット等のコミュニケーションツールを活用します。問題を抱え込まないように、雑談を交えるなどして、いつでも気軽に連絡できるように配慮することが望ましいです。

また、毎日時間を決めてオンライン会議でミーティングをするというルールにすれば、コミュニケーション不足を解消して、部下の異変に気付きやすくなります。

メンタルヘルス不調の早期発見

定期的な出勤

テレワークを原則とする場合でも、例えば、月2日とか週1日は会社への出勤を求めて、対面できる機会を設ければ、「疲れてそう」など、異変がないか確認をすることができます。また、定例会議を開催すれば、従業員間でお互いの業務の様子を知ることができ、孤独や不安が緩和されます。

テレワークと出勤を組み合わせた働き方も考えられます。

相談窓口の設置

上司や担当部署を窓口として、相談できる体制を整えて、従業員に相談できることを周知します。また、相談を受けた上司が問題を抱え込まないように、社内の担当者や産業医からサポートを受けられるようにすることが大事です。担当者や産業医の選任が難しい場合は、社外の地域産業保健センターからサポートを受ける方法も考えられます。

 
(2024/7作成)