VDT症候群とは

VDTとは

多くの社員がパソコンを使って仕事をしています。

それに伴い、「VDT症候群」と呼ばれるものが増えています。

「VDT」とは、Visual Display Terminalsの頭文字を取ったもので、ディスプレイやキーボードなどで構成される表示機器のことを言います。

このVDT機器を使用して、文章や画像の作成、データの入力や検索、プログラミング、監視等の作業(「VDT作業」)を長時間続けることにより発症する、眼の疲れやドライアイ、肩こり、腰痛、頭痛、疲労感などを「VDT症候群」と言います。

パソコンを使っている社員は、VDT作業を行っていることになります。

VDT症候群の増加

平成20年に厚生労働省が行った調査によると、VDT作業を行っている者のうち、精神的疲労を感じている者は34.6%、身体的疲労を感じている者は68.6%となっています。

身体的疲労を感じている者のうち、その内訳(複数回答)は、次のようになっています。

  1. 90.8% 目の疲れ・痛み
  2. 74.8% 首、肩のこり・痛み
  3. 26.9% 腰の疲れ・痛み
  4. 23.3% 頭痛
  5. 22.9% 背中の疲れ・痛み

VDT症候群の予防

適切でない環境や姿勢で長時間VDT作業を続けていると、VDT症候群を発症しやすくなります。

これを防ぐためには、作業環境を改善・整備することが大事です。また、管理者が社員の健康状態を把握し、適切な教育・指導を行うことも欠かせません。

連続作業時間

長時間続けてディスプレイを注視していると、眼を酷使することになります。

そして、眼精疲労から頭痛や嘔吐等の症状が生じるケースもあります。また、同じ姿勢を長時間続けていると、首、肩、腰等に疲労が溜まり、肩こりや腰痛等の原因になります。

VDT作業を1時間行ったら作業を中断し、次のVDT作業まで10分から15分の間隔を空けるのが良いとされています。パソコンから離れて、資料整理やコピーなど他の作業を組み込むと良いでしょう。

また、1時間の連続作業時間内に1〜2回の小休止(1回につき1〜2分)を設けることで、疲労の蓄積を防止することができます。遠くの景色を眺めたり、眼を閉じたり、ストレッチをしたりするのも効果的です。

ディスプレイ

ディスプレイの状態が適切でないと、眼への負担が大きくなり、疲労の原因となります。VDT症候群の多くは、眼の疲労から始まります。

これらを予防するために、次の点に注意すると良いでしょう。

ディスプレイと眼の距離

ディスプレイの画面と眼の距離は、40cm以上離すことが適当とされています。

ディスプレイの高さ

ディスプレイが上目使いの位置にあると、まばたきの回数が減少します。そして、まばたきの回数が少ないとドライアイを発症しやすくなります。

ディスプレイを見下ろして作業できるように、ディスプレイは画面の上端が、眼の高さと同じか、やや下になる高さにすることが望ましいです。

文字の大きさ

ディスプレイの文字が小さ過ぎると画面を凝視することになりますので、文字の高さは3mm以上とするのが望ましいです。

画面の明るさ

明るさに応じて瞳孔の大きさが調節されます。そして、明るさの差が大きいと眼に負担が掛かります。

ディスプレイ画面の明るさと、周辺の明るさの差をなるべく小さくすることが大事です。画面が明る過ぎたりしないよう、ディスプレイの明るさ(輝度)を周辺の明るさと合うよう調節して下さい。

映り込み

ディスプレイ画面に照明や太陽光などが映り込むと文字や図形が見えにくくなり、疲労、ストレスが溜まります。必要に応じて次のような方法で、映り込みを少なくすることが大事です。

作業姿勢

極端に前傾したり、体をねじったり、不自然な姿勢を続けていると、体に負担が掛かり、肩こりや腰痛の原因になります。

椅子に深く腰を掛けて、背もたれに背を当てて、履物の足裏全体が床に接した姿勢が良いです。

複数の社員が交代で同じ椅子を使う場合は、高さの調整が容易にできる椅子が望ましいです。

空調機器

空調機器からの送風が直接眼に掛かったり、室内が乾燥したりしていると、ドライアイを発症する可能性があります。送風の向きを変えたり、湿度を調整したりして改善するようにして下さい。

騒音

VDT機器や周辺機器から不快な騒音が発生する場合は、カーペットを敷いたり、つい立てで囲んだり、機器を消音ボックスに収納したりして、騒音を低減する措置を講じることが望ましいです。

参考)厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」

 
(2014/5作成)