パワーハラスメント(パワハラ)の予防と対応策

いじめ・嫌がらせの相談件数の増加

厚生労働省の「個別労働紛争解決制度施行状況」によると、民事上の個別労働紛争の相談件数の総数、及び、その中の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は次のように推移しています。

相談総数相談件数割合
平成23年度256,343件45,939件17.9%
平成24年度254,719件51,670件20.3%
平成25年度245,783件59,197件24.1%

「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は、ここ10年の間に急速に増加していて、10年前の平成15年度の相談件数は、11,697件でしたので、約5倍に増えています。

また、「いじめ・嫌がらせ」は、平成23年度までは「解雇」に続いて2番目に多い項目でしたが、平成24年度以降は1番多い項目になっています。

職場のパワーハラスメント

パワーハラスメントについては法律上の定義はありませんが、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告」によると、次のような行為を「職場のパワーハラスメント」と呼ぶこととしています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

職場内の優位性

パワーハラスメントは、上司から部下に対して行われるものが一般的ですが、人間関係や専門知識など職場内の何らかの優位性を基にして、同僚間で行われるものや部下から上司に対して行われるものも含みます。

業務の適正な範囲

個人の受け取り方によって、業務上の指示や注意、指導に対して不満を感じたりしていても、それが業務上の適正な範囲内で行われている場合は、職場のパワーハラスメントには当たりません。

職場のパワーハラスメントの行為類型

職場のパワーハラスメントについては、次の6つの行為類型が挙げられています。ただし、これらは典型的なものであって、職場のパワーハラスメントの全てを網羅するものではありません。

  1. 身体的な攻撃・・・暴行、傷害
  2. 精神的な攻撃・・・脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言、執拗な非難、叱責し続ける、威圧的な行為
  3. 人間関係からの切り離し・・・隔離、仲間外し、無視
  4. 過大な要求・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
  5. 過小な要求・・・業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  6. 個の侵害・・・私的なことに過度に立ち入ること

パワーハラスメントの予防

パワーハラスメントを予防するために、次のような取り組みが考えられます。

  1. トップのメッセージ
    組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであるということを明確に示す
  2. ルールを決める
    就業規則に関係規定を設ける
    労使協定を締結する
    予防、解決についての方針やガイドラインを作成する
  3. 実態を把握する
    従業員に対してアンケートを実施する
  4. 教育する
    研修を実施する
  5. 周知する
    組織の方針や取り組みについて、周知する

このような取り組みを進めると、パワーハラスメントに対する関心が高まって、一時的にパワーハラスメントに関する相談が増えるかもしれません。

しかし、教育や周知の取り組みを進めて、相談にしっかり対応していれば、必ずパワーハラスメントの予防に繋がります。

パワーハラスメントの対応策

パワーハラスメントが起きたときは、次のような対応策が考えられます。

  1. 相談窓口や解決の場を設置する
    相談窓口を設置する
    相談に対応する責任者を決める
    労使の話合いの場を設ける
  2. 再発を防止する
    行為者に対して再発防止のための研修を行う

管理職

管理職は、自らがパワーハラスメントをしないことは当然ですが、部下にもパワーハラスメントをさせないよう注意しないといけません。

特に、指導や注意をするときは、「事柄」に対して行い、「人格」に対する攻撃にならないよう注意する必要があります。

管理職は、自らの権限を発揮して、組織を動かしていかないといけません。業務の適正な範囲を逸脱してはいけませんが、パワーハラスメントの対策が管理職の適正な指導や注意を妨げるものであってはなりません。

パワーハラスメントの問題の背景

パワーハラスメントの問題の背景には、企業間競争の激化によるプレッシャーの高まり、職場内コミュニケーションの減少、管理職のマネジメント能力の低下、上司と部下の価値観の相違など、多様な要因が指摘されています。

パワーハラスメントをなくすためには、コミュニケーションの活性化、プレッシャーやストレスの少ない職場にすることが有効と考えられます。

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(2015/1作成)