パートタイム労働法の改正(平成20年)

パートタイム労働法の改正

パートタイム労働法が改正され、平成20年から施行されています。

これまでのパートタイム労働法は、努力義務規定(努力をしていれば実行していなくても許される規定)がたくさんありましたが、今回の改正では義務化された規定もあり、実務にも影響が及んでいます。

パートタイム労働法の改正について紹介いたします。

なお、パートタイム労働法の対象になるのは、パートタイム労働法により、「正社員に比べて所定労働時間の短い者」とされています。

この条件に当てはまる者であれば、「パートタイマー」や「アルバイト」、「契約社員」といった呼び方は関係なく、パートタイム労働法の対象になります(以下、対象になる者を「パートタイマー」としています)。

また、フルタイムで勤務をする正社員以外の者(いわゆる「フルタイムパート」)については、本来はパートタイム労働法の対象にはなりませんが、指針により、法律の趣旨が考慮されるべきとされています。

労働条件の文書交付

パートタイマーに関するトラブル事例を見ると、労働条件が曖昧なままで採用したことが、トラブルの原因として考えられるケースが多いです。

このようなトラブルを防止するために、パートタイマーを雇入れる際は、次の3つの事項について、文書を交付して明示することが義務付けられました。本人が希望した場合は、電子メールやFAXでも可能です。

  1. 昇給の有無
  2. 退職金の有無
  3. 賞与の有無

従来から、労働基準法により、採用時には労働条件を文書で明示することが義務付けられていましたので、これまでも採用時には雇用契約書等をパートタイマーに交付しているものと思います。

今回の改正により、パートタイマーを採用するときは、雇用契約書等に、この3つの事項を追加する必要があります。

なお、労働基準法により、採用時に文書で明示することが義務付けられている事項は、次のとおりです。

  1. 雇用契約の期間
  2. 勤務地と業務内容
  3. 勤務時間、休憩時間、残業の有無、休日、休暇
  4. 賃金の額、締め日、支払日、支払方法
  5. 退職理由、解雇理由

待遇の決定に関する説明義務

パートタイマーを雇入れた後も、パートタイマーから求めがあったときは、待遇を決定するに当たって考慮した事項について、説明をすることが義務付けられました。説明が義務付けられる事項は、次のとおりです。

これらの待遇や取扱いが正社員と異なる場合は、その理由(責任の大きさ、職務内容、転勤や配置転換の有無など)を整理して丁寧に説明することが大切です。

「パートタイマーだから」というだけでは、説明義務を果たしたことにはなりません。

均衡のとれた待遇の確保の促進

正社員と同じ仕事をするパートタイマーが増えていますが、その働きに見合った待遇がされていないという不満が高まっています。

このため、「正社員と同視すべきパートタイマー」について、パートタイマーであることを理由にして、待遇(賃金、賞与、退職金、教育訓練、福利厚生など)で差別的な取扱いをすることが禁止されました。

この「正社員と同視すべきパートタイマー」とは、次の3つの条件を全て満たす者を言います。

  1. 業務内容と責任、権限の程度が正社員と同じ
  2. 雇用契約の期間が定められていない(契約の更新が繰り返されたりして、実質的に期間が定められていない場合も含みます)
  3. 人事異動(転勤や配置転換)の有無や範囲が正社員と同じと見込まれる

正社員でも転勤や配置転換のない小規模企業では、Bが同じと判断される可能性が高いです。

「正社員と同視すべきパートタイマー」に該当する者がいる場合は、賃金はもちろん、賞与や退職金についても見直す必要が生じます。

なお、この条件を全て満たすフルタイムで働く正社員以外の者(いわゆる「フルタイムパート」)についても適用されるべきとされています。

また、「正社員と同視すべきパートタイマー」以外のパートタイマーについては、職務内容や成果、意欲、能力、経験等を勘案して、賃金を決定したり、教育訓練を行ったり、福利厚生を利用させたり、正社員とのバランスを考慮した措置を講じる努力義務が課されました。

正社員への転換の推進

一度パートタイマーとして就職すると、その働き方が固定化される現実がありますが、意欲のあるパートタイマーには正社員に転換できる機会を与えることが必要という考えから、正社員への転換を推進するための措置を講じることが義務付けられました。

具体的な例として、次の3つが挙げられています。このいずれかの措置を講じないといけません。ただし、優先的に採用することまでは求められていません。

  1. 正社員の募集に関する情報をパートタイマーに提供する
  2. 正社員を新たに配置する際に、パートタイマーにも応募の機会を与える
  3. パートタイマーから正社員に転換するための制度(試験制度など)を導入する

能力のあるパートタイマーに継続して勤務してもらうために、会社にとっても長期的に見れば有益な制度と思います。

苦情処理と紛争解決援助

パートタイマーから苦情の申出を受けたときは、会社が自主的に解決するよう努力義務が課されました。

また、紛争が生じたときは、都道府県労働局長による助言・指導・勧告や均衡待遇調停会議による調停の対象になります。

対象となる苦情・紛争の内容は、労働条件の文書交付、待遇の説明、差別的取扱い、教育訓練、福利厚生施設、正社員への転換に関する事項です。

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(2008/11作成)