契約社員とは

契約社員

デザイナーなど専門的な技能を持つスペシャリストを「契約社員」として雇用するケースは昔からありました。

しかし、最近では、一般事務や営業など幅広い業務で、従来とは異なる次のような目的で、「契約社員」を雇用するケースが増えています。

契約社員とは

フルタイムで、期間を定めて雇用する者を「契約社員」と呼んでいる会社が多いですが、どのような者を契約社員と言うのか、法律では特に決まっていません。

契約社員について定めた法律はありませんので、契約社員だからという理由で特別扱いされることはありません。

契約社員に関して、問題になりやすい事項を見てみましょう。

契約期間の満了による雇い止め

期間を定めて雇用する場合は、原則的には、契約期間が満了すれば退職することになります。この契約期間満了による退職を「雇い止め」と言います。

期間を定めて雇用する場合は、採用時に、必ず、「更新しないこと」、又は、「更新する可能性がある場合は、その判断基準」を雇用契約書で明確にして下さい。これが曖昧だと、本人はまた次も更新されるものと思い込んで、トラブルになってしまします。

また、雇用契約を更新するときは、その都度、雇用契約書を締結し直さないといけません。自動更新にしていると、同様に、トラブルになります。

更に、更新を期待させるような言動をしていると、辞めてもらうためには正当な解雇理由が求められ、雇い止めが認められません。更新が確定していないのであれば、更新を期待させてはいけません。

更新する可能性がある場合の判断基準の例

雇用契約を更新する可能性がある場合の判断基準の例です。

事前に予測することは難しいので、抽象的な表現になっていますが、実際に雇い止めを通知する際は、できるだけ具体的に説明をして、本人から理解を得ることが大事です。

他に雇い止めの理由として想定できることがあれば追加して下さい。

正社員としての適正を見極める場合の例

「契約期間の満了により本契約は当然に終了する。ただし、当該従業員の希望により同人の勤務態度、勤務成績、業務遂行能力などを考慮して新たに採用することがある。」

基本的には、雇用契約は更新しないで、契約期間満了により退職してもらいます。退職(雇い止め)に関して、特に理由は必要ありません。

例外的な取り扱いとして、本人が希望して、会社も問題ないと判断したときは、正社員として新たに採用することになります。

雇い止めの予告と理由の明示

雇い止めの予告

次のいずれかに該当し、雇用契約を更新しない場合は、少なくとも30日前までに雇い止めの予告をしないといけません。ただし、「更新しないこと」を予め明示している場合は不要です。

雇い止めの理由の明示

雇い止めの予告が必要な場合に、契約社員から雇い止めの理由について証明書を請求されたときは、遅滞なく証明書を交付しないといけません。

契約社員に適用する就業規則

社員数が10人以上の会社では、いずれかの就業規則を適用することにしておかないといけません。

就業規則で契約社員の定義付けを行って、どの就業規則を適用するのか明確にしておく必要があります。明確でないと、どの就業規則を適用するのか(退職金の有無や休職の適用など)でトラブルになります。

契約社員の雇用保険と社会保険

雇用保険

所定労働時間が週20時間以上で、かつ、31日以上の雇用見込みがあるときは、契約社員でも、雇用保険の加入義務があります。

社会保険(健康保険と厚生年金)

1日の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数がともに、正社員のおおむね4分の3以上のときは、契約社員でも、社会保険の加入義務があります。週30時間が目安になります。

ただし、2ヶ月以内の期間を定めて雇用する場合は加入義務がありません(更新したときは加入義務があります)。

契約社員の年次有給休暇

契約社員であっても、労働基準法は適用されますので、6ヶ月勤務をしたときは年次有給休暇を取得する権利が生じます。また、雇用契約を更新したときは、勤続年数は通算されます。

契約社員の健康診断

次の両方の条件を満たしている場合は、契約社員でも、定期健康診断の実施が義務付けられます。

雇用形態の変更

正社員から契約社員に雇用形態を変更する場合は、労働条件が大きく変わりますので、本人の同意を得て、雇用契約書を作成し直す必要があります。

契約社員から正社員に雇用形態を変更する場合も、雇用契約書を作成し直す必要があります。

契約社員の配置転換

業務内容や勤務地を限定して採用した場合は、会社が一方的に配置転換を命じることはできません。本人の同意が必要になります。

(2013/2作成)
(2014/5更新)