年次有給休暇の与え方(基準日の設定)
年次有給休暇の付与日数
労働基準法により、年次有給休暇は入社日を基準にして、それぞれの勤続年数に達した時点で、次の日数を付与することが定められています。
勤続年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
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付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
これが、労働基準法で定められている最低基準です。
年次有給休暇の与え方(基準日の設定)
労働基準法では、「入社日を基準にして」年次有給休暇を付与することが定められていますので、このとおり、「入社日を基準にして」年次有給休暇を付与していれば、問題はありません。
しかし、この方法は、社員1人1人を個別に管理しないといけませんので、面倒です。
例えば、Aさんは4月22日入社なので10月22日に年次有給休暇を付与して、Bさんは9月10日入社なので3月10日に付与して、それぞれの社員の入社日を基準にして、年次有給休暇を付与することになります。
また、Aさんが10月22日以降に消化した年次有給休暇の日数は何日で、Bさんが3月10日以降に消化した日数は何日で、と年次有給休暇を消化した日数も、それぞれの社員の入社日を基準にして管理しないといけません。
そこで、例えば、毎年4月1日に年次有給休暇を付与することにして、社員全員に共通する基準日を設定する方法があります。
このように年次有給休暇の基準日を設定すれば、付与するタイミングは社員全員同じ、消化日数の管理も社員全員同じ期間になりますので、管理の手間を少なくすることができます。
労働基準法の基準
年次有給休暇の基準日を設定することによって、管理を簡略化できるのですが、その場合は、年次有給休暇を前倒しで与える必要があります。
労働基準法で定められている基準は、「最低基準」として定められている内容ですので、これをクリアしないといけません。クリアするためには、社員にとって有利に取り扱う必要がありますので、結果的に、年次有給休暇を前倒しで与えることになります。
年次有給休暇付与の具体例
例えば、毎年4月1日を基準日に設定して、平成23年4月22日に入社した社員で考えますと、労働基準法上は、勤続3.5年になる平成26年10月22日の時点で、14日の年次有給休暇が付与されていないといけません。
したがって、労働基準法で定められている内容をクリアするためには、この14日分は、直前の基準日となる平成26年4月1日に前倒しして付与することになります。
また、平成23年9月10日に入社した社員については、労働基準法上は、勤続3.5年になる平成27年3月10日の時点で、14日の年次有給休暇が付与されていないといけません。
同様に、労働基準法で定められている内容をクリアするためには、この14日分は、直前の基準日となる平成26年4月1日に前倒しして付与することになります。
年次有給休暇の基準日を設定する方法はいくつかありますが、最初の勤続年数が0.5年になった時点で付与する10日分は、そのまま勤続年数が0.5年になった時点で付与して、その次に来る基準日を勤続1.5年とみなして11日分を付与する方法が比較的に多いようです。
他には、入社日に付与したり、入社した月によって付与日数を変えたりする方法もあります。年次有給休暇の基準日を設定している就業規則を見る機会がありますが、労働基準法の最低条件をクリアしていない就業規則がよくあります。
数パターンの入社日を仮で決めてみて、それぞれの入社日を基準にして、労働基準法で定められている最低基準をクリアしていることを確認して下さい。
年次有給休暇の基準日を設定するかどうか
年次有給休暇の基準日を設定する場合は、前倒しで付与することになりますので、入社時期のタイミングによってどうしても不公平が生じます。
また、年次有給休暇はできるだけ最小限に抑えたいとおっしゃる場合は、基準日の設定は向いていません。労働基準法どおり、入社日を基準にして年次有給休暇を付与して下さい。
年次有給休暇を前倒しで与えても良いから面倒を避けたいとおっしゃる場合は、基準日を設定して下さい。
入社日を基準にする方法も、年次有給休暇の基準日を設定する方法も、どちらも一長一短があります。
(2014/8作成)