慶弔見舞金規程の作成

慶弔見舞金とは

慶弔見舞金は、支給が義務付けられているものではありませんが、多くの会社で支給されています。

社員の結婚や出産、家族の死亡といったプライベートの出来事に際して、会社が支援をすることによって、社員を大切にしているというメッセージになります。

慶弔見舞金規程の作成

慶弔や災害があったときに、慶弔見舞金を支給するかどうか、支給する場合に金額をいくらにするか、その都度、場当たり的に対応していると、会社に悪気がなくても不公平な取扱いになってしまうことがあります。

慶弔見舞金を支給するのであれば、公平で効率的な取扱いをするために、慶弔見舞金規程を作成して、支給条件や支給金額、手続き等を定めておくと良いでしょう。

支給対象者

慶弔見舞金規程を作成する場合は、まずは、支給対象者(適用範囲)を定めないといけません。

例えば、パートタイマーや嘱託従業員に慶弔見舞金を支給しないのでしたら、これらの者には慶弔見舞金規程を適用しないことを記載します。このような記載がないと、パートタイマー等にも支給が義務付けられます。

また、試用期間中は支給(適用)しなかったり、勤続1年以上の社員を対象としたりすることも可能です。このようにする場合も、明確に記載しておく必要があります。

慶弔見舞金の金額

私がこれまで見てきた慶弔見舞金規程の平均的な金額を以降で紹介していますが、この金額にこだわる必要はありません。

新規に慶弔見舞金規程を作成する場合の参考程度にしていただければと思います。支給の有無や金額は、それぞれの会社の考え方によります。

結婚祝金

結婚祝金は、社員が結婚したときに支給するものです。結婚祝金の金額は、2万円から3万円程度が多いようです。

再婚のときは減額したり、支給しなかったりする場合は、そのように規定しておく必要があります。

出産祝金

出産祝金は、社員が出産したときに支給するものです。出産祝金の金額は、1万円程度が多いようです。社員の配偶者が出産したときも、同様に支給するのが一般的です。

例としては少ないですが、第2子以降の子の出産祝金の金額を減額(増額)したり、支給人数を制限したりする場合は、その内容を定めておく必要があります。

弔慰金

弔慰金は、社員が死亡したときに支給するものです。弔慰金の金額は、5万円程度から基本給の数ヶ月分まで、会社によって幅があります。死亡事由(業務上か業務外か)や勤続年数、役職等で区分する場合は、具体的に定めておく必要があります。

なお、具体的な金額を慶弔見舞金規程に記載すると、会社はその金額を支給することが義務付けられます。初めて規程を作成する場合は、いくらが適当なのか決めるのが難しいと思いますので、最初は具体的な金額は記載しないで、会社がその都度、支給金額を決定することにしても良いでしょう。納得できる金額が見付かったときに、具体的な金額を記載してください。

家族弔慰金

家族弔慰金は、社員の家族が死亡したときに支給するものです。まずは、支給対象とする家族の範囲を具体的に決めないといけません。また、勤続年数や役職で区分したり、同居を条件としたりする場合は、これらも記載しておく必要があります。

家族弔慰金の金額は、1万円から5万円程度が多いようですが、初めて規程を作成する場合は、弔慰金と同様に、会社がその都度、支給金額を決定することにしても良いでしょう。

被災見舞金

被災見舞金は、社員の住居が被災したときに支給するものです。被災見舞金については、住居の損壊の区分(全損壊、半損壊、一部損壊)に応じて支給金額を決定しているケースが多いです。被災見舞金の金額は、一部損壊から全損壊まで幅がありますが、1万円から10万円程度が多いようです。

大規模な自然災害が起きると支給金額が膨れ上がることになりますので、余り高額にならないよう注意してください。若しくは、被災の状況に応じて、会社がその都度、支給金額を決定することにしても良いでしょう。

傷病見舞金

傷病見舞金は、傷病のために一定期間(2週間以上など)休業するときに支給するものです。傷病見舞金の金額は、1万円程度が多いようですが、その後も毎月支給を続けるケースがあります。

ところで、業務外の傷病については健康保険から傷病手当金が支給されます。支給される金額は賃金の約3分の2なのですが、会社から賃金の支給がある場合は、その分だけ傷病手当金が減額されます。

そして、傷病見舞金を毎月支給していると、それは賃金と判断され、傷病手当金が減額される可能性があります。傷病見舞金は毎月支給するのではなく、一時金で支給するのが良いと思います。

その他の慶弔見舞金

社員の子が小学校や中学校に入学したときに支給する入学祝金や、社員の子が結婚したときに支給する結婚祝金などがあります。

重複支給の制限

例えば、社員同士が結婚する場合の結婚祝金については双方に支給するケースが多いですが、家族で複数の社員が在籍している場合に、1つの事由につき1人にだけ支給するのであれば、重複して支給しないことを規定しておく必要があります。

証明書の添付

虚偽による申請を防止するために、申請をするときは、その事実を証明する書類(招待状や案内状等)を一緒に提出してもらうことにしておくべきでしょう。

就業規則の不利益変更

慶弔見舞金規程も就業規則の一部ですので、これを社員にとって不利益に変更する場合は、原則的には社員の同意が必要になります。規程の内容を変更するときは注意してください。

なお、取扱いが決まっていない部分を新しく決めることは不利益変更には当たりません。

男女雇用機会均等法違反

慶弔見舞金の支給に関して、男女で支給条件や支給金額を変えたりしていると、差別的な取扱いとして男女雇用機会均等法違反になってしまいます。「夫」や「妻」、「寡婦」といった部分がある場合は、「配偶者」に替えるなどして、男女で区別しないようにしてください。

(2016/1 作成)