雇用環境・均等部(室)

雇用環境・均等部(室)の設置

これまで、パワー・ハラスメントや解雇に関する相談は都道府県労働局の「総務部企画室」、セクシュアル・ハラスメントやマタニティー・ハラスメントに関する相談は「雇用均等室」が対応していました。

そのため、セクハラとパワハラの両方の被害があった場合に、被害者が相談窓口をたらい回しされたり、それぞれの部署が同じ会社に重複して指導や勧告を行ったりするケースがありました。

これを解消するために、都道府県労働局の組織を見直して、2016年から「雇用均等室」を改めて、「雇用環境・均等部(室)」が設置されました。ハラスメント(嫌がらせ)に関する相談を雇用環境・均等部(室)に集約することにより、窓口が一本化され、労働紛争の解決に一元的に当たれるようになります。

また、雇用環境・均等部(室)に雇用環境改善・均等推進指導官が配置され、女性の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、働き方改革などに取り組むようです。今後、重要な部署になっていくことが予想されます。

なお、雇用環境・均等部(室)は、47都道府県の労働局内に設置され、北海道、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡は均等部、その他の都道府県は均等室になります。

雇用環境・均等部(室)の役割

雇用環境・均等部(室)では、従来の雇用均等室から引き続いて、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法に関する相談に対応し、その内容に応じて必要な行政指導を行うなど、トラブルの解決に向けた援助を行います。

それぞれの法律において、厚生労働大臣は、事業主に対して、報告を求め、助言、指導、勧告できることが規定されています。また、この権限は、都道府県労働局長に委任できることが定められています。

これに基づいて、平成27年度に、全国の雇用均等室で受け付けた相談、是正指導の状況が公表されています。具体的にどのような内容が取り扱われているのか見てみましょう。

相談の件数

平成27年度に、雇用均等室に寄せられた相談の件数は84,210件で、その内訳は次のとおりです。

労働者26,368件31.3%
事業主39,338件46.7%
その他18,504件22.0%

是正指導の件数

平成27年度に、雇用均等室が行った是正指導の件数は69,027件で、その内訳は次のとおりです。

男女雇用機会均等法12,964件18.8%
育児介護休業法27,039件39.2%
パートタイム労働法29,024件42.0%

男女雇用機会均等法

相談の内容

男女雇用機会均等法に関する相談の合計は23,371件で、この内、労働者からの相談は12,255件(52.4%)、事業主からの相談は6,455件(27.6%)となっています。労働者からの相談の内訳は、次のとおりです。

  1. セクハラ・・・6,827件(55.7%)
  2. 不利益取扱い・・・2,650件(21.6%)
  3. 母性健康管理・・・1,364件(11.1%)

是正指導の内容

7,455事業所の実態把握を行い、何らかの男女雇用機会均等法違反が確認された5,804事業所(77.9%)に対して、12,964件の是正指導を実施しました。その内訳は、次のとおりです。

  1. セクハラ・・・7,596件(58.6%)
  2. 母性健康管理・・・5,065件(39.1%)
  3. 募集・採用・・・153件( 1.2%)
  4. 不利益取扱い・・・84件( 0.6%)

男女雇用機会均等法の概要

セクシュアル・ハラスメント(第11条)−会社は、セクシュアル・ハラスメントが生じないよう、従業員の相談に応じたり、適切に対応するために体制を整備したりして、必要な措置を講じないといけません。

妊娠、出産等に関するハラスメント(第11条の2)−会社は、妊娠や出産に関連してハラスメントが生じないよう、従業員の相談に応じたり、適切に対応するために体制を整備したりして、必要な措置を講じないといけません。

母性健康管理(第12条と第13条)−会社は、女性従業員が母子保健法で定められている保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保しないといけません。また、その指導に基づいて、勤務時間を変更したり、勤務を軽減したりして、必要な措置を講じないといけません。

募集・採用(第5条)−会社が従業員を募集・採用する際は、性別にかかわりなく均等な機会を与えないといけません。

不利益取扱い(第9条)−会社は、婚姻、妊娠、出産を退職理由として定めてはいけません。また、婚姻、妊娠、出産を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。妊娠、出産をして1年以内に行った解雇は無効になります。

育児介護休業法

相談の内容

育児介護休業法に関する相談の合計は51,478件で、この内、労働者からの相談は12,069件(23.4%)、事業主からの相談は27,738件(53.9%)となっています。労働者からの相談の内訳は、次のとおりです。

・育児関係

  1. 育児休業・・・4,090件(38.6%)
  2. 不利益取扱い・・・2,086件(19.7%)
  3. 短時間勤務等・・・1,749件(16.5%)

・介護関係

  1. 介護休業・・・710件(48.1%)
  2. 介護休暇・・・392件(26.6%)
  3. 短時間勤務等・・・133件( 9.0%)

是正指導の内容

6,916事業所の実態把握を行い、何らかの育児介護休業法違反が確認された6,745事業所(97.5%)に対して、27,039件の是正指導を実施しました。その内訳は、次のとおりです。

・育児関係

  1. 短時間勤務等・・・3,321件(22.4%)
  2. 育児休業・・・2,779件(18.7%)
  3. 法律を上回る措置・・・2,094件(14.1%)
  4. 時間外労働の制限・・・2,092件(14.1%)
  5. 子の看護休暇・・・1,892件(12.7%)
  6. 所定外労働の制限・・・1,635件(11.0%)

・介護関係

  1. 短時間勤務等・・・2,401件(30.3%)
  2. 介護休業・・・1,707件(21.5%)
  3. 介護休暇・・・1,566件(19.8%)
  4. 時間外労働の制限・・・  979件(12.4%)

育児介護休業法(育児関係)の概要

短時間勤務等(第23条)−3歳未満の子を養育する従業員が申し出たときは、その申出に基づいて、会社は、所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度など)を講じないといけません。

育児休業(第5条)−1歳未満の子を養育する従業員が申し出たときは、育児休業を取得できます。

法律を上回る措置(第24条)−1歳未満の子、3歳未満の子、小学校就学の始期に達するまでの子を養育するそれぞれの段階ごとに、会社に対して制度や措置を講じることが義務付けられていますが、必要に応じて、会社はそれを上回る措置を講じるよう努めないといけません。

時間外労働の制限(第17条)−小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が請求したときは、会社は、1ヶ月につき24時間、1年につき150時間を超えて時間外労働をさせてはいけません。

子の看護休暇(第16条の2)−小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が申し出たときは、1年につき5日(小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合は10日)を限度として、子の看護休暇を取得できます。

所定外労働の制限(第16条の8)−3歳未満の子を養育する従業員が請求した場合は、会社は、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。

不利益取扱いの禁止(第10条)−従業員が育児休業を申し出たり、育児休業を取得したり、子の看護休暇を取得したり、時間外労働の制限を申し出たりしたことを理由として、会社は、解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。

育児介護休業法(介護関係)の概要

短時間勤務等(第23条第3項)−要介護状態の家族を介護する従業員が申し出たときは、会社は、所定労働時間の短縮等の措置(短時間勤務制度など)を93日以上(介護休業を取得した場合はその日数を差し引いた日数)講じないといけません。

介護休業(第11条)−要介護状態の家族を介護する従業員が申し出たときは、介護休業を取得できます。

介護休暇(第16条の5)−要介護状態の家族を介護する従業員が申し出たときは、1年につき5日(要介護状態の家族が2人以上の場合は10日)を限度として、介護休暇を取得できます。

時間外労働の制限(第18条)−要介護状態の家族を介護する従業員が請求したときは、会社は、1ヶ月につき24時間、1年につき150時間を超えて時間外労働をさせてはいけません。

パートタイム労働法

相談の内容

パートタイム労働法に関する相談の合計は9,361件で、この内、労働者からの相談は2,044件(21.8%)、事業主からの相談は5,145件(55.0%)となっています。労働者からの相談の内訳は、次のとおりです。

  1. 労働条件の文書交付・・・247件(12.1%)
  2. 相談体制の整備・・・213件(10.4%)
  3. 待遇に関する説明・・・193件( 9.4%)

是正指導の内容

9,080事業所の実態把握を行い、何らかのパートタイム労働法違反が確認された8,286事業所(91.3%)に対して、29,024件の是正指導を実施しました。その内訳は、次のとおりです。

  1. 労働条件の文書交付・・・6,343件(21.9%)
  2. 正社員への転換・・・4,401件(15.2%)
  3. 措置の内容の説明・・・3,982件(13.7%)
  4. 就業規則の作成・・・3,511件(12.1%)

パートタイム労働法の概要

労働条件の文書交付(第6条)−会社は、短時間労働者を雇い入れたときは、その者の労働条件を明示しないといけません。なお、特定の事項については、文書を交付して明示しないといけません。

正社員への転換(第13条)−会社は、正社員への転換を推進するために、正社員の募集に関する事項を短時間労働者に周知したり、正社員への配置の希望を申し出る機会を短時間労働者に与えたり、正社員に転換するための試験制度を設けたりしないといけません。

措置の内容の説明(第14条)−会社は、短時間労働者を雇い入れたときは、差別的取扱いの禁止、賃金、教育訓練、福利厚生施設、正社員への転換、に関する措置の内容について、その者に説明しないといけません。

就業規則の作成(第7条)−会社は、短時間労働者に適用する就業規則を作成又は変更しようとするときは、短時間労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう努めないといけません。

相談体制の整備(第16条)−短時間労働者の雇用管理の改善等に関して、会社は短時間労働者からの相談に応じて、適切に対応するために必要な体制を整備しないといけません。

待遇に関する説明(第14条第2項)−会社は、短時間労働者から求めがあったときは、労働条件の文書交付、就業規則の作成、差別的取扱いの禁止、賃金、教育訓練、福利厚生施設、正社員への転換、に関する措置の内容を決定するに当たって考慮した事項について、その者に説明しないといけません。

過料と企業名の公表

雇用環境・均等部(室)から、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法に関して、報告するよう求められたにもかかわらず、それに応じなかったり、虚偽の報告をした企業に対して、20万円以下の過料が科されることになっています。

また、これらの法律に違反していて、是正するよう勧告を受けたにもかかわらず、それに従わないでいると、企業名が公表されることになっています。

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(2018/8作成)