次一般事業主行動計画の策定
応募者から選ばれる会社に
「求人を出してもなかなか良い人材が集まらない」という話をよく聞きます。
正社員に短時間勤務を認めたり、育児休業や介護休業の取得を促進したり、女性を活用したり、応募者から選ばれる会社にならないと、特に中小零細企業は更に採用が困難になります。
また、様々な働き方を受け入れて、働きやすい職場にすることで、退職する社員が減ります。これによって、新たな採用コストや教育コストの削減に繋がります。
そのための取組として、こちらで取り上げました「一般事業主行動計画」を活用してはいかがでしょうか。
一般事業主行動計画
社員数が101人以上の企業に対して、一般事業主行動計画を策定することが義務付けられています。100人以下の企業については、努力義務となっています。
また、可能であれば、「くるみんマークの認定」を目指して取り組みましょう。その場合は、認定基準を踏まえて、一般事業主行動計画を策定する必要があります。
現状の把握
一般事業主行動計画では、具体的な目標を設定するのですが、的外れな目標を定めても意味がありません。まずは、会社の現状や社員のニーズを把握することから始めましょう。
例えば、5年以内で区切って見ると、次のような内容はどのようになっていますか?
- 子育て中の社員(女性・男性)は何人いますか?いましたか?
- 妊娠や出産を理由にして退職した社員は何人いましたか?
- 育児休業や子の看護休暇、短時間勤務制度は何人(女性・男性)に利用されましたか?
- 妊娠中の社員が通院できる時間を確保していましたか?利用されましたか?
また、社員のニーズを把握するために、次のような内容を聴いてはいかがでしょうか。
- 仕事と子育ての両立で苦労していることは?
- 労働時間の短縮を希望するかどうか?
- 年次有給休暇に関して希望することは?
- 育児休業等を取得しにくい場合、その理由は?
- 会社で実施してほしい制度は?
一般事業主行動計画の策定
現状を把握することで、どのような対策が求められているのか見えてくると思います。全部の課題を改善することは難しいと思いますので、優先順位を付けます。そして、次の「行動計画策定指針」を参考にして、一般事業主行動計画に定める目標を設定して下さい。
目標は可能な限り、定量的な数値目標としましょう。(例:平成30年までに、育児休業の取得率を男性20%、女性100%とする。平成30年までに、年次有給休暇の取得率を60%とする。)
また、「制度の導入」を目標とする場合は、関係法令で定めている基準を上回る内容になっていないと、認定を受けることができません。
行動計画策定指針
目標は無理に高いものを設定しなくても構いません。会社の実情に応じて必要なものを選び出して下さい。目標はいくつでも設定できます。ただし、認定を受けるためには、1.a.b.の項目のうち、1項目以上が盛り込まれていないといけません。
1.雇用環境の整備に関する事項
a.主に育児をしている社員(期間雇用者等を含む)を対象とする取組
- 妊娠中及び出産後の社員の健康管理や相談窓口の設置
- 配偶者出産休暇制度の創設
- 育児介護休業法の規定を上回る、育児休業制度や子の看護休暇制度の実施
- 男性の育児休業取得を促進するための措置の実施
- 育児休業中の待遇、育児休業後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項についての周知
- 育児休業期間中の代替要員の確保
- 育児休業期間中の社員の職業能力の開発向上等、育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備
- 育児休業後における原職又は原職相当職への復帰
- 3歳以上の子を養育する社員に対する所定外労働の免除、短時間勤務制度の導入
- フレックスタイム制度の導入
- 始業・終業時刻の繰上げ、又は繰下げの制度
- 育児介護休業法の規定を上回る短時間勤務制度の実施等、社員が子育てのための時間を確保できるようにするための措置の実施
- 事業所内保育施設の設置、運営
- 子育てサービス費用の助成、貸付け
- 子の看護休暇について、1時間を単位とする取得を可能とする等、弾力的運用の実施
- 希望する社員に対する勤務地、担当業務、労働時間等の限定制度の実施
- 育児介護休業法に基づく育児休業等の両立支援制度全般の周知
- 出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施
b.育児をしていない社員(期間雇用者等を含む)も含めて対象とする取組
- ノー残業デーの導入・拡充や会社内の意識啓発等による所定外労働の削減
- 年次有給休暇取得の促進
- 短時間正社員制度の導入・定着
- 在宅勤務やテレワーク(ITを利用した場所・時間にとらわれない働き方)の導入
- 職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正のための意識啓発
2.その他の次世代育成支援対策
a.対象を自社の社員に限定しない、雇用環境整備以外の取組
- 託児室・授乳コーナーの設置等による子育てバリアフリーの推進
- 保護者の働いているところを子どもが見ることができる「子ども参観日」の実施
- 地域における子育て支援活動への社員の積極的な参加の支援等、子ども・子育てに関する地域貢献活動の実施
- 企業内における家庭教育に関する学習機会の提供
- インターンシップやトライアル雇用等を通じた若年者の安定就労・自立した生活の推進等
男性社員の育児休業
会社は「男性社員に育児休業を取得されると困る」、男性社員本人も「職場復帰が心配なので育児休業は取得したくない」と思っているかもしれません。しかし、育児休業は、1年は取らないといけないというものではありません。1週間だったり、1ヶ月という期間でも構いません。1年は難しいとしても、短い期間であれば、双方とも受け入れられるのではないでしょうか。
(2016/6作成)