次世代育成支援対策推進法

次世代育成支援対策推進法とは

次世代育成支援対策推進法とは、「急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資すること」を目的とした法律です。

そして、これを実現するために、次世代育成支援対策に関して、基本理念や行動計画策定指針、一般事業主行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることとされています。

次世代育成支援対策推進法の概要を解説いたします。

基本理念

「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない」ことが、基本理念として定められています。

法律の有効期限

次世代育成支援対策推進法は、当初は平成17年4月1日から平成27年3月31日までの10年間の時限立法とされていましたが、法律が改正され、有効期限が平成37年3月31日まで10年間延長されることになりました。

行動計画策定指針

基本理念に基づいて、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るために、「一般事業主行動計画の策定」に関する指針を策定することになっています。この策定にあたっての基本的な視点として、次の事項が挙げられています。

  1. 仕事と生活の調和の推進という視点
  2. 仕事と子育ての両立の推進という視点
  3. 企業全体で取り組むという視点
  4. 企業の実情を踏まえた取組の推進という視点
  5. 取組の効果という視点
  6. 社会全体による支援の視点
  7. 地域における子育ての支援の視点

一般事業主行動計画

一般事業主行動計画とは、企業が、社員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画のことを言います。一般事業主行動計画には、次の事項を定めます。

  1. 計画期間
  2. 達成しようとする目標
  3. 目標達成のための対策及びその実施時期

また、一般事業主行動計画の内容は、次のような事項を踏まえて、各企業の実情に応じて、必要な事項を盛り込むことが望ましいとされています。

  1. 子育てを行う社員の仕事と生活の両立を支援するための雇用環境の整備
  2. 子育てをしていない社員も含めて、働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備、など

また、次の内容が、行動計画策定指針に追加されることになりました。

  1. 非正規雇用の社員が取組の対象であること
  2. 働き方の見直しに資する取組を進めることが重要であること

働き方の見直しに資する取組の例は次のとおりです。

一般事業主行動計画の策定から認定まで

行動計画の策定

行動計画の策定は、101人以上の企業に対して義務付けられています。従来は301人以上の企業が義務の対象となっていましたが、平成23年4月から義務の対象が拡大されました。

100人以下の企業に対しては、努力義務となっています。行動計画を策定するよう「努力すること」が義務付けられています。

行動計画の公表と社員への周知

策定した行動計画はインターネット等を利用して一般に公表し、社員に周知しないといけません。

行動計画の届出

行動計画を策定又は変更したときは、都道府県労働局に届け出ないといけません。そして、目標の達成に向けて行動計画を実行します。なお、行動計画そのものを届け出る必要はありません。

次期の行動計画を策定

計画期間が終わりそうになったら、次期の行動計画を策定することになります。

厚生労働大臣による認定

計画期間が終了し、目標を達成するなど、認定を受けるための要件を満たしたときは、都道府県労働局に認定の申請を行います。

認定基準を満たしている場合は厚生労働大臣により認定され、企業は商品に認定マーク(くるみんマーク)を使用したり、求人広告に記載したり、イメージアップを図れます。

認定基準

厚生労働大臣による認定を受けられる基準は、次のとおりです。

  1. 適切な行動計画を策定したこと
  2. 計画期間が2年以上5年以下であること
  3. 行動計画に定めた目標を達成したこと
  4. 適切に公表及び労働者への周知をしたこと
  5. 男性の育児休業取得者が1人以上いること
  6. 女性の育児休業取得率が70%以上であること
  7. 3歳から小学校入学するまでの子をもつ労働者を対象とする育児休業等の措置を講じていること
  8. 所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進等の措置を講じていること
  9. 法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと

また、現行の認定基準について、以下の見直しを行うことになっています。

  1. 男性の育児休業取得に係る基準について中小企業の特例を拡充する。
  2. 女性の育児休業取得に係る基準の見直しについて検討する。
  3. 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置に係る基準について見直す。

(2016/5作成)