厚生年金基金の概要

厚生年金基金

厚生年金基金は、退職金の外部積立てとして広く利用されていました。

しかし、バブル期以降は資産の運用が悪化してきたために、厚生年金の代行部分を返上したり、厚生年金基金を解散したりするケースが増えてきました。

また、平成26年度からは、財政状況が悪化している厚生年金基金に対して、解散を促進することになっています。

厚生年金基金の現状について、お伝えいたします。

厚生年金基金とは

厚生年金基金とは、公的年金である厚生年金の一部(代行部分)と、会社独自の上乗せ部分(加算部分)を併せて支給する制度です。国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分、厚生年金基金(加算部分)が3階部分として位置付けられています。

厚生年金基金に加入していない会社の厚生年金の保険料は、会社と社員で半々に折半して負担しています。

一方、厚生年金基金に加入している会社では、社員の保険料負担は厚生年金の保険料より低く抑えられ、会社の保険料負担は上乗せ部分(加算部分)があるため社員より多くなっています。

厚生年金基金の設立形態

厚生年金基金には、次のような設立形態があります。

単独型1つの会社で1つの基金を設立
連合型企業グループで基金を設立
総合型同じ業種の中小企業が集まって基金を設立

厚生年金基金の現状

厚生年金基金は、厚生年金の一部(代行部分)と、会社独自の上乗せ部分(加算部分)を併せて運用することで、スケールメリットを享受することができました。

バブル期までは予定利率を上回って、運用利益を出している厚生年金基金がたくさんありましたが、バブル期以降は、運用利益を出すことができず、加算部分が支払不能になり、代行部分にも影響が出始めています。

この状況から逃れるためには、次のような方法が考えられます。

  1. 保険料の増額
  2. 代行部分の返上(解散)
  3. 厚生年金基金からの任意脱退
  4. 給付額の引下げ

保険料の増額

厚生年金基金は上乗せ給付を目的とした制度ですので、元々会社は社員より多くの保険料を支払っています。

この通常の保険料とは別に、積立て不足を穴埋めするために、「特別掛金」という名目で保険料が徴収されることがあります。

代行部分の返上(解散)

厚生年金基金が代行部分を返上する(解散する)場合は、積立て不足を清算しないといけません。この積立て不足は、現在加入している会社が負担することになります。

単独型や連合型の厚生年金基金は大企業が多く、代行部分の返上が積極的に行われてきました。しかし、総合型の厚生年金基金は中小企業が多く、経営状態がそれぞれで違うため、意思統一が難しくて、進めたくても進められないのが実情のようです。

なお、厚生年金基金が経営破綻して解散する場合でも、積立て不足は徴収されます。

厚生年金基金からの任意脱退

厚生年金基金から任意脱退をする場合は、それぞれの会社に割り当てられた積立て不足を納付しないといけません。

しかし、倒産や廃業をする場合は、会社は積立て不足を支払うことができません。そうなると、残された会社が、倒産した会社が負担するはずだった積立て不足を負担することになります。厚生年金基金に加入している会社で、倒産している所がないか調べた方が良いでしょう。

給付額の引下げ

保険料の増額と共に考えられるのが、給付額の引下げです。

こちらも総合型の厚生年金基金は、単独型や連合型の厚生年金基金と比べると、引下げを実行した所は少ないようです。

厚生年金基金の位置付け

厚生年金基金を利用されている会社では、厚生年金基金は、どのような位置付けになっているでしょうか?

職金の上乗せとして、退職金とは別に支払っている会社もあるようですが、本来、厚生年金基金は退職金の社外準備制度の一部です。

退職金規程がどうなっているのかによりますが、退職金規程の金額から、厚生年金基金から支給される金額を控除して支払うことができます。厚生年金基金の位置付けが明確でない場合は、退職金規程で社外準備としての位置付けを明確にしておく必要があります。

退職金の社外準備としての規定例

退職金の社外準備としての規定例は、次のとおりです。

「会社が、厚生年金基金など外部機関において積立てを行っている場合、当該外部機関から支給される退職金は、会社が本人に支給したものとみなし、会社から直接支給する退職金は、当該外部機関から支給される退職金の額を控除した額とする。ただし、外部機関から支給される退職金は一時金として支給された場合の金額とする。」

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(2014/7 作成)