労働契約法の改正(平成24年、平成25年)

労働契約法の改正

労働契約法が改正され、有期労働契約に関して新しいルールが設けられました。

有期労働契約とは、1年契約や6ヶ月契約というように、期間の定めのある労働契約のことを言います。

なお、パートタイマーや契約社員、嘱託、アルバイト、派遣社員といった社員の呼び方は関係ありません。

有期労働契約には、契約期間満了による更新の打切り(雇止め)があるため、雇用が不安定で、実際にトラブルが多いです。また、有期労働契約であることを理由にして、不合理な労働条件が定められている実態もあります。

今回の改正は、雇止めに対する不安を解消する等して、安心して働き続けることができる社会を実現するために行われるものです。

労働契約法改正のポイント

改正により、次の3つの内容が追加されました。

  1. 無期労働契約への転換
  2. 「雇止め法理」の法定化
  3. 不合理な労働条件の禁止

無期労働契約への転換

有期労働契約が繰り返し更新されて、通算して5年を超えたときに、社員が会社に申込みをすれば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるようになりました。

ただし、有期労働契約の前後の間に6ヶ月以上(一部例外があります)の空白期間(クーリング期間)があるときは、空白期間の前の有期労働契約の期間は通算されず、リセットされます。

無期労働契約への転換の申込みは、有期労働契約の期間が5年を超えることとなる有期労働契約の初日から満了日まで可能とされています。

また、有期労働契約の期間が5年を超えた後も更新している場合は、引き続き申し込みできることになっています。申込みの権利がなくなることはありません。

無期労働契約に転換して辞めてもらう場合は、「雇止め」ではなく、「解雇」することになります。しかし、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、解雇は無効となります。また、解雇の場合は、解雇予告の手続きも必要になります。

なお、5年の通算については、平成25年4月1日(施行日)以後に開始(更新)する有期労働契約から対象になります。平成25年3月31日以前に開始(更新)した有期労働契約の期間はカウントされません。平成30年4月1日以降になってから、問題が表面化し始めると思われます。

この改正は、期間の定めのみを変更するもので、無期労働契約に転換したときは、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約のときと同じ労働条件にしないといけません。ただし、正社員と同じ労働条件に引き上げたり、正社員として雇用したりする義務はありません。

「雇止め法理」の法定化

最高裁の判例で確立している雇止めに関する判例法理(雇止め法理)が、そのままの内容で労働契約法に規定されました。

つまり、次のいずれかに該当し、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、有期労働契約は締結(更新)されたものとみなされます。

  1. 有期労働契約の反復更新により、無期労働契約と実質的に異ならない状態となっている場合
  2. 有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合

これらに該当するかどうかは、雇用の臨時性や常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる会社の言動の有無などを総合的に考慮して、個々の事案ごとに判断されます。

有期労働契約が締結(更新)されたものとみなされる場合は、直前と同じ労働条件(契約期間を含みます)で、有期労働契約が成立することになります。

この内容は判例で確立されたもので、実務上で何か変わるということはありません。しかし、法定化されたことで、世間に広まり、トラブルが増加するかもしれません。

@については契約更新の手続きを慎重に行って、Aについては不用意な言動を避ける等して、会社としては、引き続き、注意する必要があります。

不合理な労働条件の禁止

有期労働契約の社員と無期労働契約の社員の労働条件が異なる場合に、期間の定めがあることを理由として、不合理な労働条件を設けることが禁止されます。

対象となる労働条件は、賃金や労働時間等だけでなく、教育訓練や服務規律、福利厚生、災害補償、付随義務など、社員に対する一切の待遇が含まれます。特に、通勤手当、安全管理(健康診断)、食堂の利用等については、不合理と判断されるケースが予想されます。

労働条件の相違については、職務の内容、責任の程度、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮した上で、有期労働契約の社員にとって不合理であってはなりません。

したがって、これらを考慮した上での合理的な相違であれば、問題はありません。言い換えると、働きや貢献に見合った待遇の差であれば、労働条件に相違があったとしても構いません。

就業規則の修正

パートタイマーや契約社員、アルバイト等を有期労働契約の社員として、就業規則で定義付けをしている会社は多いと思います。

今回の改正により、有期労働契約から無期労働契約に転換されるパートタイマー等が出てくると、定義付けで「期間を定めて雇用される者」といった表現に当てはまらないことになります。このような事態が想定される場合は、このような表現を削除する必要があります。

また、有期労働契約の社員に定年制を適用しないことになっている場合も、修正が必要になります。

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(2014/11作成)