国民健康保険料の軽減措置
退職後の健康保険
通常、会社に在籍している間は、会社の健康保険に加入しますが、会社を退職した後は、個人で何らかの健康保険に加入しないといけません。選択肢としては、次の3つの方法があります。
- 家族の被扶養者になる
- 任意継続被保険者になる
- 国民健康保険に加入する
家族の被扶養者になれる場合は、健康保険の保険料の負担は不要です。被扶養者になれない場合は、任意継続被保険者になるか、国民健康保険に加入するか、保険料を比較して検討することになります。
国民健康保険の保険料は、前年の1月から12月までの所得を基準にして計算されます。また、国民健康保険の加入者は高齢者や失業者が多いので、保険料は任意継続被保険者になる場合と比べて高額になるケースが多いです。
そのため、失業期間が長期に及ぶ場合は、最初の1年間は任意継続被保険者になって、翌年度から国民健康保険に切り替えるという方法が、保険料の負担を考えると有利になるケースが多いです。所得によりますので、当てはまらないケースもあります。
国民健康保険料の軽減措置
従来は、以上のように、国民健康保険の保険料の方が高額になるケースが多かったのですが、会社の倒産や解雇、雇い止め等、非自発的な理由で離職された方について、国民健康保険の保険料が軽減される制度があります。平成22年度に新設された制度です。
軽減措置の概要
通常、国民健康保険の保険料は、前年の所得を基準にして算定されるのですが、前年の所得を「100分の30」とみなして保険料を算定します。
これにより、軽減措置が適用される前後で、保険料は半額以下になります。具体的な計算方法は、市区町村によって異なります。
なお、100分の30とみなして計算されるのは給与所得のみで、給与所得以外の所得(株式譲渡所得など)については100分の100で計算されます。
軽減される期間
保険料が軽減される期間は、離職日の翌日の属する月から、次の年度末までの期間です。最長で2年間になります。
再就職をして、会社の健康保険に加入するなど、国民健康保険の資格を喪失したときは、当然、軽減措置も終了します。
軽減措置を受けられる条件
保険料の軽減措置を受けられるのは、雇用保険の
- 特定受給資格者(会社の倒産や解雇などにより離職された方)
- 特定理由離職者(雇止めや正当な理由のある自己都合退職により離職された方)
として失業給付を受ける方です。
雇用保険の受給資格者証がある場合は、その離職理由欄に記載されている番号を確認してください。番号が「11、12、21、22、31、32」の方は特定受給資格者、「23、33、34」の方は特定理由離職者に該当します。
ただし、離職日の時点で65歳以上の方は、軽減措置を受けられません。
軽減措置の申請手続き
軽減措置を受けるには、国民健康保険を運営している市区町村に、申請手続きを行わないといけません。申請の手続きをする際は、次の書類等が必要になります。国民健康保険の担当に電話をして、事前に確認しておくと良いでしょう。
- 雇用保険受給資格者証
- 印鑑
- マイナンバー(個人番号)が確認できる書類
- 国民健康保険証
なお、雇用保険受給資格者証は、ハローワークに離職票を提出して、求職の申込みをした後、説明会の日に交付されます。
その他の保険料の減免措置
会社の倒産や解雇、雇い止め等により離職した場合の軽減措置を紹介しましたが、他にも、災害等で損害を受けたり、保険料を納められない特別な事情があったりしたときに、保険料の減免や徴収猶予が行われることもあります。
市区町村の条例に基づいて行われる制度もありますので、保険料の納付が困難な場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談してはいかがでしょうか。
(2016/7作成)