国民年金の免除制度

年金制度への加入義務

20歳以上60歳未満の方は、いずれかの年金制度に加入することが法律で義務付けられています。

会社員の場合は、通常は厚生年金に加入することになっていますが、会社を退職した場合は、国民年金に加入しないといけません。

厚生年金に加入している会社員の扶養家族として扶養されていた配偶者(第3号被保険者)についても、会社を退職した場合は、第3号被保険者から国民年金に変更することになります。

国民年金の保険料の免除制度

平成26年度の国民年金の保険料は、月額15,250円です。

失業したり、収入が減少したりして、この国民年金の保険料の納付が困難になる場合があります。そのような場合は、国民年金の保険料の免除制度を利用することができます。

国民年金の免除制度のメリット

免除制度が利用できる場合は、保険料を未納のままにしないで、免除制度を利用するべきです。

国民年金の保険料が未納になっていると、将来の老齢基礎年金の年金額の計算にはカウントされません。しかし、免除制度を利用した場合は、保険料の2分の1を納付したものとしてカウントされます。つまり、老齢基礎年金の年金額が増えます。

老齢基礎年金を受給するためには、原則25年以上、年金制度に加入していることが条件になっています。国民年金の保険料が未納になっていると、加入期間に加算されませんので、将来、老齢基礎年金を受給できないかもしれません。しかし、免除制度を利用した場合は、加入期間として加算されます。

また、国民年金の保険料が未納になっていると、障害年金や遺族年金などの給付を受けられない可能性が高いです。しかし、免除制度を利用した場合は、保険料は納付しているものとして、これらの給付を受けられます。

国民年金の免除制度の種類

国民年金の免除制度には、免除される金額によって、「全額免除」、「4分の3免除」、「半額免除」、「4分の1免除」の4種類と、「納付猶予制度」があります。

なお、納付猶予制度は、保険料の納付が猶予されるもので、老齢基礎年金の年金額の計算にはカウントされません。この場合は、老齢基礎年金の年金額が増えることはありません。

免除制度が利用できる所得の基準

それぞれの免除制度が利用できる所得の基準は次のとおりで、この範囲内の場合は免除が認められます。

  1. 全額免除
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
  2. 4分の3免除
    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  3. 半額免除
    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  4. 4分の1免除
    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  5. 若年者納付猶予制度
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

本人、配偶者、世帯主のそれぞれの前年の所得(1月から6月までに申請する場合は前々年の所得)が審査の対象になります。

ただし、若年者納付猶予制度については、本人と配偶者の前年の所得が審査の対象になります。世帯主は除かれます。

また、通常は、本人、配偶者、世帯主のそれぞれの前年の所得が審査の対象になるのですが、失業をした場合は「特例免除」として、本人の所得は審査の対象から除かれます。前年の所得が基準を超えていても、免除が認められることがあります。

免除申請の手続き

保険料の免除申請の手続きは、住民登録をしている市役所や区役所に、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」を提出してください。郵送でも可能です。

この申請手続きをする際は、年金手帳が必要になります。また、失業による場合は、雇用保険受給資格者証の写しや雇用保険被保険者離職票等の写しを求められることがありますので、事前に電話で状況を説明して、必要書類を確認すると良いでしょう。

「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」は、年金事務所又は市役所や区役所の窓口に備え付けてあります。 ここから申請書を印刷することともできます(PDFファイル)

国民年金の保険料の追納

国民年金の保険料が免除された期間については、10年以内であれば、保険料を追納することができます。

保険料を追納すると、その期間は保険料を全額納付したものとして、年金は満額支給されるようになります。なお、平成26年度の老齢基礎年金の年金額は、満額で、772,800円となっています。

ただし、追納をする場合は、当時の国民年金の保険料額に、利子に相当する加算額を上乗せして納付しないといけません。2年以内の保険料については、加算額は上乗せされません。

(2003/1作成)
(2014/8更新)