事務所衛生基準規則とは

事務所衛生基準規則とは

労働安全衛生法は、労働災害を防止し、従業員の安全と健康を確保することを目的とした法律ですが、快適な職場環境を形成することも目的の1つとして挙げられています。

事務所衛生基準規則は、労働安全衛生法に基づいて、事務作業をする従業員がいる“事務所”の衛生基準を定めたものです。

「冷房の温度は何度に設定するべきか?」といったことが話題になったりしますが、この事務所衛生基準規則で規定されています。主な内容を紹介します。

気積 【第2条】

気積は、従業員1人につき10m3以上でないといけません。

ただし、設備がある空間、床面から4mを超える高さにある空間は除きます。天井の高さが2.5mとすると、2m×2mで10m3になります。

換気 【第3条】

窓の開口部の面積は、床面積の20分の1以上でないといけません。20分の1未満の場合は換気設備を設ける必要があります。

温度 【第4条】

室温が10℃以下の場合は、暖房等により温度を調節しないといけません。また、冷房する場合は、室温を外気温より著しく低くしてはいけません。

空気調和設備等による調整 【第5条】

空気調和設備や機械換気設備を設けている場合は、次の基準を満たすよう設備を調整しないといけません。

項目基準値
浮遊粉じん量0.15mg/m3以下
一酸化炭素の含有率10ppm以下
二酸化炭素の含有率1,000ppm以下
ホルムアルデヒドの量0.1mg/m3以下

空気が流入する場合は、気流を0.5m/秒以下にして、特定の従業員に直接、継続して当たらないようにしないといけません。

空気調和設備を設けている場合は、室温を17℃以上28℃以下、相対湿度を40%以上70%以下になるよう努めないといけません。努力義務として定められている事項で、設定温度ではなく、実際の室温を指しています。

燃焼器具 【第6条】

燃焼器具を使用する場所では、換気設備(換気扇や排気筒等)を設けないといけません。また、燃焼器具を使用するときは、毎日、異常の有無を点検しないといけません。

作業環境測定等 【第7条】

空気調和設備を設けている場合は、2ヶ月以内ごとに1回は、次の事項を測定しないといけません。

  1. 一酸化炭素と二酸化炭素の含有率
  2. 室温と外気温
  3. 相対湿度

また、上の測定をしたときは、その都度、次の事項を記録して、3年間は保存しないといけません。

  1. 測定日時
  2. 測定方法
  3. 測定箇所
  4. 測定条件
  5. 測定結果
  6. 測定を実施した者の氏名
  7. 測定結果に基づいて改善措置を講じたときは、その措置の概要

点検等 【第9条】

空気調和設備を設けている場合は、病原体によって空気が汚染されることがないように、次の措置を講じないといけません。

  1. 冷却塔や加湿装置に供給する水を水道法第4条に規定する水質基準に適合させること
  2. 1ヶ月以内ごとに1回は、冷却塔、冷却水、加湿装置、排水受けの汚れの状況を点検して、必要に応じて、清掃等を行うこと
  3. 1年以内ごとに1回は、冷却塔、冷却水の水管、加湿装置を清掃すること

照度等 【第10条】

作業面の照度は作業の区分に応じて、次の基準を満たさないといけません。

項目基準値
精密な作業300ルクス以上
普通の作業150ルクス以上
粗な作業 70ルクス以上

採光と照明を工夫して、明暗の対照が著しくならないように、まぶしくないようにしないといけません。照明設備は、6月以内ごとに1回は点検しないといけません。

騒音及び振動の防止 【第11条】

有害な影響を及ぼす恐れのある騒音や振動がある場合は、隔壁を設けたりして、その伝ぱを防止するために必要な措置を講じないといけません。

給水 【第13条】

従業員には飲用水等の飲料を十分に与えられるようにしないといけません。また、飲用又は食器の洗浄用に水を供給するときは、次の基準を満たさないといけません。

排水 【第14条】

排水設備は、汚水の漏出等が生じないように、補修や掃除を行わないといけません。

清掃等の実施 【第15条】

日常行う清掃の他に、6月以内ごとに1回は、統一的に大掃除をしないといけません。

6ヶ月以内ごとに1回は、ねずみや昆虫等の発生場所、生息場所、侵入経路、並びに、ねずみや昆虫等による被害の状況について、統一的に調査し、その調査結果に基づいて、ねずみや昆虫等の発生を防止するために必要な措置を講じないといけません。

ねずみや昆虫等を防除するために殺そ剤や殺虫剤を使用する場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いないといけません。

従業員の清潔保持義務 【第16条】

従業員は事務所を清潔にして、廃棄物は定められた場所に捨てないといけません。

便所 【第17条】

便所は男性用と女性用を区別して、次のとおり設けないといけません。また、便所には手洗い設備を設けないといけません。

項目基準値
男性用大便器男性60人以内ごとに1個以上
男性用小便器男性30人以内ごとに1個以上
女性用便器女性20人以内ごとに1個以上

洗面設備等【第18条】

洗面設備を設けないといけません。また、従業員の服が汚れたり、濡れたりする恐れがある場合は、更衣設備や乾燥設備を設けないといけません。

休憩の設備 【第19条】

従業員が休憩できる設備を設けるよう努めないといけません。努力義務として定められています。

睡眠又は仮眠の設備 【第20条】

従業員が夜間に睡眠するとき、又は就業の途中に仮眠するときは、男性用と女性用を区別して、睡眠又は仮眠できる場所を設けないといけません。その場所には、寝具等の必要な物を備えて、疾病感染を予防する措置を講じないといけません。

休養室等 【第21条】

50人以上の従業員又は30人以上の女性従業員がいるときは、男性用と女性用を区別して、寝ることができる休養室や休養所を設けないといけません。

体調が悪くなったときに使うための設備です。休憩設備は努力義務ですが、この休養室は義務となっています。

立業のためのいす 【第22条】

立った状態で従事する従業員に座れる機会があるときは、利用できる椅子を備えないといけません。

救急用具 【第23条】

負傷者を手当するために必要な救急用具と材料を備えて、その備付け場所や使用方法を従業員に周知しないといけません。また、救急用具と材料は清潔に保たないといけません。

(2019/6作成)