インフルエンザの対応

インフルエンザの対応

社員がインフルエンザに感染したり、感染が疑われたりする場合に、会社はどのように対応をすれば良いのか、会社はどこまでできるのかと相談を受ける機会があります。

インフルエンザの対応について、よくある質問をQ&A形式でまとめてみました。

予防接種の義務付け

インフルエンザの予防接種を社員に義務付けることはできるのでしょうか?

結論から言いますと、問題があります。

インフルエンザの予防接種について、昔は小学校で強制的に集団接種が行われていましたが、安全性や有効性の問題が指摘され、現在は任意で個別に接種することになっています。

このような経緯がありますので、会社としても、安全性や有効性のリスクを考えると、社員にインフルエンザの予防接種を義務付けることは問題があります。

したがって、社員に予防接種を受けさせたいのであれば、義務付けるのではなく、予防接種の費用を会社が負担することにして、社員の意思で受けてもらうようにするのが望ましいです。これは新型インフルエンザの場合でも同じです。

健康診断の受診命令

インフルエンザに感染した疑いのある社員に、健康診断の受診を命じることはできるのでしょうか?

就業規則に、臨時に健康診断を行うことが記載されていれば、健康診断の受診を命じることができます。

ただし、就業規則にそのような記載がないとしても、感染症予防法第6条で言う「二類感染症」に分類されたり、「新型インフルエンザ等感染症」に指定された新型インフルエンザについては、まずは保健所に連絡をして、保健所の判断によって対応することになります。これらに該当する場合は、感染症予防法により、健康診断を受けるよう勧告できることになっています。

休業命令

社員がインフルエンザに感染した場合は、会社を休ませるべきでしょうか?

社内にインフルエンザを蔓延させたり、顧客に感染を拡げて迷惑を掛けることは避けないといけませんので、医師の意見を参考にして、本人の意思で休むよう勧めるのが良いでしょう。

同居している家族がインフルエンザに感染した場合は、会社を休ませるべきでしょうか?

業務の状況等にもよりますので、一概には言えませんが、季節性のインフルエンザで、本人に特に症状が見られない場合は、普通はそこまでする必要はないと思います。

就業の禁止

ただし、新型インフルエンザで、労働安全衛生規則第61条第1項第1号の「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者」については、本人の意思に関係なく、労働安全衛生法第68条により就業を禁止しなければなりません。

上の感染症予防法第6条で言う「二類感染症」や「新型インフルエンザ等感染症」に該当する場合は、労働安全衛生規則第61条第1項第1号の「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」に該当することになります。

なお、季節性のインフルエンザや特に指定されていない新型インフルエンザは、ここの就業の禁止には該当しません。

賃金の支払い

社員がインフルエンザに感染したり、感染が疑われて、会社を休んだ場合は、賃金の支払いはどうすれば良いのでしょうか?

それぞれのケースによって取扱いが異なります。

年次有給休暇を取得した場合

年次有給休暇を取得した場合は、有給で処理することになります。これで対応するケースが一般的と思います。

会社の判断で休業させた場合

年次有給休暇を使い切っていたり、年次有給休暇の取得を本人が拒否したりして、会社の判断で強制的に休ませた場合は、会社は休業手当を支払わないといけません。

労働基準法第26条により、会社の都合で社員を休ませた場合は、平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが義務付けられています。

保健所等の指導により休業した場合

感染症予防法第6条の「二類感染症」や「新型インフルエンザ等感染症」に該当する新型インフルエンザについては、保健所や医師から休むよう指導、協力要請が行われることがあります。

この場合は、会社の判断で休ませたものではありませんので、会社に責任はありません。したがって、会社は休業手当を支払う義務はありません。

なお、新型インフルエンザにもいくつか種類がありますが、「二類感染症」や「新型インフルエンザ等感染症」の指定を受けていないものについては、ここの取扱いは該当しません。

年次有給休暇の消化

インフルエンザの感染が疑われるときに、自動的に年次有給休暇を消化させても問題ないでしょうか?

年次有給休暇は原則として、社員が取得日を指定して消化するものです。したがって、会社が一方的に年次有給休暇を消化させることはできません。会社から社員に年次有給休暇を取得するよう勧めて、本人が同意すれば、年次有給休暇を消化することになります。

なお、保健所等の指導があって休ませる場合は、法律的には無給でも構いませんが、年次有給休暇の取得を認めても構いません。社員には喜ばれると思います。

出勤率の計算

年次有給休暇の出勤率の計算で、インフルエンザに感染して休んだ日はどのように計算するのでしょうか?

  1. 業務上の傷病の療養のために休業した期間
  2. 育児休業・介護休業の期間
  3. 産前産後休業の期間
  4. 年次有給休暇を取得した期間

は、出勤率の計算においては出勤したものとして取り扱うことになっています。

したがって、年次有給休暇を取得して休んだ日については、出勤したものとして取り扱います。

また、(年次有給休暇を取得しないで)保健所等の指導があって休んだ日については、全労働日(分母となる日数)から除いて計算します。会社の判断で休ませた場合も、出勤の義務がない日ですので、全労働日から除いて計算します。

懲戒処分

インフルエンザを社内に蔓延させたり、顧客に感染させた社員を、懲戒処分できますか?

本人も知らない間に感染させてしまったような場合は、権利の濫用となって、懲戒処分は認められないと思います。

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(2016/2作成)