子の看護休暇と介護休暇の時間単位の取得)

子の看護休暇とは

子の看護休暇とは、小学校入学前の子を養育する従業員が、怪我や病気になった子を世話したり、予防接種や健康診断を受けさせたりするために、取得できる休暇のことを言います。

子の看護休暇は、1年につき5日(対象となる子が2人以上の場合は10日)まで取得できます。

介護休暇とは

介護休暇とは、従業員が要介護状態の家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護したり、通院に付き添ったり、介護サービスの手続きを代行したりするために、取得できる休暇のことを言います。

介護休暇も、1年につき5日(対象となる家族が2人以上の場合は10日)まで取得できます。

育児介護休業法の改正

子の看護休暇及び介護休暇は育児介護休業法で定められていて、従来は、1日単位又は半日単位で取得できることになっていました。

しかし、予防接種や通院の付添い等は半日も掛からないケースが多く、時間単位で取得できれば使い勝手が良いという意見があり、法令(施行規則)が改正されて、2021年(令和3年)1月1日以降は、1日単位又は時間単位で取得できるようになりました。

半日単位から時間単位に変更されたもので、改正内容は簡単ですが、実際に従業員が時間単位で休暇を取得したときに、どのように対応すれば良いのか迷うケースがあります。

時間単位の休暇とは

子の看護休暇や介護休暇の申出は、1時間の整数倍で認めないといけませんので、例えば、2時間単位でしか認めないという取扱いは違法になります。

なお、従業員が分単位で休暇を申し出たときは、支障がなければ応じても構いませんが、会社に応じる義務はありません。

所定労働時間の端数

例えば、1日の所定労働時間数が7時間30分のように、1時間に満たない端数がある場合があります。このような場合は端数を切り上げて、時間単位で休暇を取得した時間の合計が8時間に達した段階で、1日分の休暇を消化したことになります。

1年につき5日で計算をして、7時間30分×5日=37.5時間(38時間)とはなりません。5日の全部を時間単位で取得した場合は、合計40時間になります。

また、1日単位で休暇を取得したときは、端数の時間を考慮する必要はありません。7時間30分の休暇ですが、1日分として処理します。

休暇と休憩時間の重複

例えば、始業時刻が8時30分、終業時刻が17時、休憩時間が12時から13時までとして、従業員が8時30分から4時間の休暇を申し出たとします。

この場合は、30分が休憩時間と重複しますので、そのまま後ろの労働時間にスライドして、13時30分まで休めることになります。

1日平均所定労働時間

シフト制で勤務しているパートタイマーなど、日によって所定労働時間が異なる場合があります。その場合は、1年間における1日の平均所定労働時間を算出して、1時間未満の端数を切り上げた時間が基準になります。

そして、例えば、1日の平均所定労働時間が6時間で、シフト表によって、4時間勤務の日と8時間勤務の日があったとします。

4時間勤務の日に1日単位で休暇を取得したときは、1日分の取得として処理します。8時間勤務の日に1日単位で休暇を取得したときも、1日分の取得として処理します。1日単位で休暇を取得する場合は、その日の所定労働時間数は考慮しません。

一方、8時間勤務の日に7時間の休暇を取得したときは、「1日分(6時間)+1時間」の取得として処理します。休暇がその日の所定労働時間に満たない場合は、時間単位の取得として処理します。この場合は、1日単位で取得した方が従業員にとっては有利になります。

中抜け

法令上、時間単位の休暇は、始業時刻又は終業時刻から連続して取得することになっています。

いわゆる遅刻や早退を想定していて、従業員が労働時間の途中の中抜けを申し出たときは、会社に応じる義務はありません。中抜けの申出は拒否できますが、法令を上回る取扱いとして、認めることが望ましいとされています。

半日単位と時間単位の併用

法令上は、半日単位の規定が時間単位の規定に置き換えられて、半日単位の規定は削除されました。半日単位より時間単位の方が柔軟な利用が可能で、従業員にとっては有利な取扱いと考えられています。

半日単位で休暇を与える義務はなくなりましたので、従業員が半日単位で休暇を請求したときは、会社は拒否をして、時間単位で請求し直すよう求めることができます。

半日単位と時間単位を併用することも可能ですが、注意が必要です。例えば、所定労働時間が1日8時間で、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩時間が12時から13時までとしている場合に、午前の3時間を半日単位で取得したとします。

従来は、午前の3時間×2回で1日分の取得として処理できたのですが、時間単位で取得すると6時間で、従業員にとっては2時間分の不利益が生じます。半日単位で取得すると不利になる取扱いは適切ではないとされています。午後の5時間×2回で1日分の取得として処理することは可能ですが、いびつな制度で管理が複雑になります。

法令に合わせて、育児介護休業規程(就業規則)から半日単位の規定を削除した方が良いと思います。規定が残っていると、半日単位の請求を拒否できません。

就業規則の規定例

子の看護休暇の時間単位の規定例です。

「子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。」(中抜けを認めないケース) 半日単位の取得を定めている規定と置き換えてください。介護休暇についても同じです。

子の看護休暇と介護休暇の適用除外

従来は、1日の所定労働時間が4時間以下の従業員は、半日単位の休暇を取得できませんでしたが、改正後は、所定労働時間に関係なく、時間単位で取得できるようになりました。

また、次の者について、従業員の過半数代表者(又は過半数労働組合)と労使協定を締結したときは、子の看護休暇や介護休暇を請求してきても拒否できます。従来から定められている内容と同じです。

  1. 勤続6ヶ月未満の者
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の者
  3. 時間単位(半日単位から変更)で休暇を取得することが困難な業務に従事する者

労使協定に3.の記載をしている場合は、改正前の半日単位を前提として締結したものですので、時間単位に書き換えて、労使協定を締結し直す必要があります。労使協定に1.と2.のみを記載している場合は、締結し直す必要はありません。

(2022/10作成)