労働者派遣法の改正(平成24年10月施行)

労働者派遣法の改正(平成24年10月施行)

労働者派遣法が改正され、平成24年10月から施行されています。

労働者派遣法は製造業に解禁されたりして、これまでは規制緩和の方向で改正が行われてきました。しかし、今回は労働者保護が強く打ち出され、規制を強化する方向で改正されています。

法律の正式名称も、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改められました。

では、平成24年10月から施行された、労働者派遣法の改正の概要を見てみましょう。

日雇派遣の禁止

【派遣会社】は、日雇派遣ができなくなりました。

日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する派遣)は、派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたことから、禁止されることになりました。

ただし、次の場合は、例外として認められます。

政令で定める業務に派遣する場合

次に該当する人を派遣する場合

グループ企業派遣の8割規制

【派遣会社】は、派遣会社のグループ企業に派遣する割合を、全体の8割以下にしないといけません。

グループ企業への派遣が大半を占めるような場合は、派遣会社が本来果たすべき労働力需給調整機能としての役割が果たされないことから、法律で明確に規制されることになりました。

離職した労働者の派遣禁止

【派遣会社】は、離職後1年以内の人と労働契約を結んで、元の勤務先に派遣することができなくなりました。

【派遣先】は、離職後1年以内の元従業員を派遣労働者として受け入れることができなくなりました。

本来直接雇用するべき労働者を派遣労働者に置き換えて、労働条件が切り下げられることのないよう定められました。

ただし、60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外されます。

なお、禁止対象となる勤務先の範囲は事業者単位となります。

マージン率などの情報提供

【派遣会社】は、関係者に対してインターネットなどにより、派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報を提供しないといけません。

労働者や派遣先が、より適切な派遣会社を選択できるようにするためのものです。

派遣料金の明示

【派遣会社】は、派遣労働者に対して、雇入時、派遣開始時、派遣料金の変更時に、書面・FAX・Eメールのいずれかにより、派遣労働者の派遣料金(次の1.又は2.)を明示しないといけません。

  1. 派遣労働者本人の派遣料金
  2. 派遣労働者が所属する事業所における派遣料金の1人あたりの平均額

待遇に関する事項などの説明

【派遣会社】は、労働契約締結前に、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、次の事項を説明しないといけません。

  1. 雇用された場合の賃金の見込額や待遇に関すること
  2. 派遣会社の事業運営に関すること
  3. 労働者派遣制度の概要

派遣契約を解除するときの措置

【派遣先】が自社の都合で派遣契約を解除する場合は、次の措置をとることが義務付けられます。また、派遣契約時は、これらの措置について明記しないといけません。

派遣契約の中途解除によって、派遣労働者の雇用が失われることを防ぐためものです。

  1. 派遣労働者の新たな就業機会の確保
  2. 休業手当などの支払いに要する費用の負担など

無期雇用への転換推進措置

【派遣会社】は、有期雇用(雇用期間が通算1年以上)の派遣労働者の希望に応じ、以下のいずれかの措置をとるよう努めないといけません。

派遣労働者が無期雇用になるための機会が少ないことから設けられました。

  1. 無期雇用の労働者として雇用する機会の提供
  2. 紹介予定派遣の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進
  3. 無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施

均衡待遇の確保

【派遣会社】が派遣労働者の賃金を決定する際は、次の事項に配慮しないといけません。教育訓練や福利厚生などについても均衡に向けた配慮が求められます。

  1. 派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準
  2. 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験など

【派遣先】は、派遣会社に対し、必要な情報を提供するなどの協力が求められます。

労働契約申込みみなし制度

【派遣先】が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点で、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込み(直接雇用の申込み)をしたものとみなされます。

この制度は、平成27年10月1日からの施行となっています。

(2014/10作成)