法定労働時間と所定労働時間

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法定労働時間と所定労働時間

残業手当の割増率

労働基準法により、従業員に時間外労働等をさせたときは、会社は次の割増率で計算した残業手当(割増賃金)を支払うことが義務付けられています。

  1. 時間外労働・・1週40時間又は1日8時間を超える労働
     → 時間単価の125%
  2. 休日労働・・・週1回の休日に行った労働
     → 時間単価の135%
  3. 深夜労働・・・午後10時から午前5時までの間に行った労働
     → 時間単価の25%

法定労働時間と所定労働時間

労働基準法では、1週40時間又は1日8時間を超えて労働させてはならないことが定められています。この1週40時間又は1日8時間を「法定労働時間」と言います。

会社の勤務時間も1日8時間で、週休二日制としていれば、1週間の勤務時間も40時間になります。

このように会社で定める所定労働時間と労働基準法で定められている法定労働時間が一致している場合は、残業時間の計算方法も一致しますので、理解しやすいです。

しかし、「1日8時間ではない、当社の所定労働時間は1日7時間だ」という会社もあります。会社で定める定時の労働時間のことを「所定労働時間」と言います。

この場合、1日8時間を超えた時間に対しては、125%の残業手当を支払わないといけないことは明らかです。

では、1日7時間を超えて、8時間に達するまでの1時間については、どのように処理するべきでしょうか。

労働基準法上は、法定労働時間(1週40時間又は1日8時間)を超えた時間に対して、125%の残業手当(時間外労働手当)を支払うことを義務付けています。

法定労働時間を超えない時間に対しては、労働基準法上は決まっていません。つまり、7時間超8時間以内の勤務時間については、会社は割増しで賃金を支払わなくても構いません。

したがって、その時間については、通常の賃金と同じ100%分の賃金を支払っていれば問題ありません。

例えば、時間給1,000円のアルバイトが10時から18時までのシフトに入っていて、その間に1時間の休憩時間があったとすると、所定労働時間は7時間になります。

このときに、18時から19時まで残業したとすると、定時を超える時間外になりますが、会社は1,000円を支払っていれば違法にはなりません。

ただし、これは労働基準法をベースにした考え方であって、就業規則や雇用契約書で従業員にとって有利な取り決めをしている場合は、そちらが優先されます。

例えば、就業規則(賃金規程)で、「所定労働時間を超えて勤務した時間に対して、125%の時間外勤務手当を支払う」と規定している場合は、この規定に基づいて、割増しで賃金を支払う必要があります。

先のアルバイトの例で言うと、1日8時間以内の勤務であっても、18時から19時までの残業時間に対して、1,250円の支払い義務が生じます。

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