募集時の年齢制限の禁止

募集・採用時の年齢制限の禁止

社員を募集、採用するときに、例えば「35歳まで」というような年齢制限を設けることは、雇用対策法により禁止されています。募集、採用時の年齢制限を禁止することによって、どの年齢層の人にも均等な機会が与えられるようにするための規定です。

この取扱いは、パートタイマーやアルバイト、派遣社員といった雇用形態に関係なく適用されます。また、ハローワークで募集をする場合に限られません。民間の求人広告を利用して募集する場合や自社のホームページ等で会社が直接社員を募集する場合にも適用されます。

会社がこれに違反したとしても、罰金等の罰則が適用されることはありませんが、行政による助言、指導、勧告の対象になります。

年齢制限の禁止の例外事由

ただし、次のような場合は、厚生労働省令による「例外事由」として、年齢制限を設けることが認められます。

例外事由 1号

「定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を、期間の定めのない労働契約の対象として募集、採用する場合」

定年年齢を60歳としている会社が、60歳未満の人を募集するような場合です。ただし、1年契約など、期間を定めて雇用する場合は認められません。また、40歳以上60歳未満というように、下限年齢を設定することはできません。

例外事由 2号

「労働基準法等の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合」

労働基準法により、18歳未満の者に危険有害業務をさせること、深夜労働をさせることが禁止されています。また、警備業法により、18歳未満の者に警備業務をさせることが禁止されています。これらの場合は、18歳以上の人に限定して募集できます。

例外事由 3号のイ

「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集、採用する場合」

ここで言う「若年者等」とは、近年の就職の厳しい時期に正社員になれなかった45歳未満の人、基本的には35歳未満の人が想定されています。

このケースは、新卒者が主な対象者と考えられています。そして、新卒者以外の者を採用するときも、新卒者と同等の処遇にすることが求められます。ただし、賃金額を同じにしないといけないということではなく、新卒者と同じように教育や訓練、配置をしたりして、新卒者と同じように育成しようとするものであれば構いません。

また、職業経験を不問とすることが条件になっていて、「○○の経験者募集」や「○○の経験者優遇」といった記載をすることはできません。ただし、経験者が応募してきて、その経験者を採用することは差し支えありません。

例外事由 3号のロ

「技能、ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集、採用する場合」

特定の年齢層とは、30歳から49歳までの特定の5歳幅から10歳幅の年齢層を言います。同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、上下ともに労働者数が1/2以下であることが条件になっています。この場合は、その特定の年齢層に限定して募集できます。

例外事由 3号のハ

「芸術、芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合」

芸術作品のモデルや演劇の役者などを募集するような場合です。

例外事由 3号のニ

「60歳以上の高年齢者、又は、特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定して募集、採用する場合」

国の施策を活用する場合で、例えば、特定求職者雇用開発助成金の対象者として、60歳以上65歳未満の人に限定して募集することができます。なお、助成金の対象になる年齢と一致していないといけません。

年齢制限の理由の提示

以上のような「例外事由」に該当し、年齢制限を設ける場合は、求職者や職業紹介事業者に対して、その理由を書面や電子媒体で提示することが義務付けられます。

年齢制限をなくすメリット

募集をするときには年齢制限を設けていなくても、書類選考をして、実質的に年齢制限を設けている会社もあるようです。しかし、そのような年齢制限をなくすことによって、様々なメリットが考えられます。

会社が求めるのは、個人の適性や人柄、能力、経験等であって、年齢そのものではないはずです。年齢制限をなくすことによって、会社が求める人材と出会える可能性が高まります。

また、年配者に限らず、女性や外国人など、これまで会社にいなかった多様な社員を採用することで、会社は幅広い視点を取り入れることができるようになります。

求める人材を明確に

例えば、若者向けの商品を取り扱っていたり、仕事内容がパソコンを使う業務であったり、体力が必要な業務であったりすると、会社としては年齢制限を設けたいと考えるかもしれません。また、年上の部下は使いにくいと躊躇することもあるでしょう。

しかし、「例外事由」に該当しなければ、年齢制限を設けることはできません。そのような場合は単純に考えて、具体的な業務内容や必要な能力(体力等)を詳しく明示することで、それに合った応募が期待できます。

会社が求める人材像を具体的に明示することで、応募者が自ら判断できて、ミスマッチを防止できるようになります。求人の記載内容を工夫することで、年齢制限をしていたときより、効率的に採用が進められるはずです。

これから、就業者数が減少していくことが決まっています。年齢で選り好みをしていると、特に中小零細企業には応募が全く集まらないという深刻な事態になることが考えられます。そうなる前に、今の内から、どの年齢層でも戦力として使えるような工夫や準備をしておくことが大事です。

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(2016/10作成)