外国人の雇用
外国人の雇用
厚生労働省の調査によると、約72万人の外国人が就労しているそうで、年々増加傾向にあります。
外国人労働者については、言葉や習慣の違いからトラブルが起こりがちです。
外国人を雇用するときは、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?
在留資格と在留期間の確認
日本では単純労働者の受入れには慎重な姿勢をとっていて、外国人が入国するときは、入国管理法により「在留資格」が与えられます。
在留資格は27種類あって、種類ごとに活動できる内容が制限されていて、その範囲外の活動は禁止されています。また、「在留期間」に限って活動することが認められます。
外国人を雇入れる際は、まず、「在留資格」と「在留期間」の確認が必要不可欠です。在留資格は次のように分類されます
就労に制限がない(4種類)
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
一定の範囲内で就労が可能(18種類)
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動
※「技能実習」は、「研修」を終えた後、研修先の企業で引き続き技術や技能の習得を目的とするもので、“労働”に当たります。
就労できない(5種類)
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
※「留学」、「家族滞在」については、「資格外活動の許可」を得れば、一定の時間内(原則1週28時間以内)の就労が可能になります。
※「研修」は、海外への技術移転といった国際協力を目的として行われるもので、本来は“労働”させることはできません。
入国管理法違反
「在留資格」のない者や「在留期間」の過ぎた者を働かせると、本人に刑事罰が科され、会社も場合によっては入国管理法の不法就労助長罪(3年以下の懲役、300万円以下の罰金)に処せられます。
「知らなかった」では済まされないことですので、在留資格と在留期間については十分注意して下さい。
在留資格と在留期間の確認方法
在留資格や在留期間が記されている書類として、次のようなものがあります。
- 在留カード
- パスポート
- 就労資格証明書
- 資格外活動許可書
雇入れる前に、これらの書類で在留資格と在留期間を原本で確認してください。また、1.〜4.で偽造の心配があるときは入国管理局で照会できます。
外国人への法律の適用
原則として、労働関係の法律(労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法など)は外国人にも適用されます。
健康保険や厚生年金、雇用保険の加入についても同様に適用され、勤務時間等が加入基準に達している場合は、本人の意思に関係なく加入させないといけません。
ただし、厚生年金保険は、日本と社会保障協定を結んでいる国から転勤してくる方は加入しなくて構いません。
なお、厚生年金については、保険料を6ヶ月以上納めて帰国する外国人に対しては、「脱退一時金」制度が用意されていて、支払った保険料の多くが戻ってきます。
また、雇用保険は、外国公務員や本国で雇用保険の適用を受けている方、退職と同時に帰国するなど失業給付を受給しないことが明らかな方は加入しなくて構いません。
その他、外国人雇用の注意点
雇入れるときは労働条件(賃金や勤務時間等)を明示することが、労働基準法により義務付けられています。本人が理解できなければ、トラブル防止に役立ちません。本人の母国語で記載した雇用契約書も取り交わしておくのが望ましいです。
また、外国人には日本人以上に労働災害防止の配慮が必要です。特に、機械設備や安全装置、保護具の使用方法などについては、写真やイラストを使って理解できるまで教育しないといけません。
在留期間を超えて在留しようとする場合は、事前に在留期間更新の申請をして、許可を受ける必要があります。早めに手続きの準備をするよう本人に促したり、手続きのために勤務時間を配慮するなど、必要な援助を行うようにしてあげて下さい。
(2009/5更新)
(2014/5更新)