雇用保険法の改正(平成19年)

雇用保険法の改正(平成19年)

雇用保険法が改正され、平成19年から施行されています。

雇用保険法の改正のポイントと、実務への影響についてお伝えいたします。

被保険者資格の一本化

雇用保険の被保険者資格は、これまでは、1週間の所定労働時間によって、

  1. 1週間の所定労働時間が、30時間以上の者は、「一般」
  2. 1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満の者は、「短時間」

に区分されていました。これが法改正によって一本化されました。

失業給付の受給要件の一本化

被保険者資格の一本化に伴って、失業給付の受給要件も変わりました。これまで、失業給付を受給するためには、被保険者資格の区分によって、

  1. 「一般」の場合は、6ヶ月以上
  2. 「短時間」の場合は、12ヶ月以上

雇用保険に加入していることが必要でした。この加入期間が、被保険者資格を基準としたものから、次のように、離職理由を基準としたもの変わりました。

また、給与支払の基礎となる日数についても、

  1. 「一般」の場合は、各月14日以上
  2. 「短時間」の場合は、各月11日以上

必要だったものが、各月11日以上に統一されます。

11日以上の月をカウントして、自己都合退職の場合は12ヶ月以上、特定受給資格者の場合は6ヶ月以上あれば、失業給付を受給できます。

したがって、これまで「一般」の場合は、最短で6ヶ月勤務をすれば失業給付を受給できましたが、自己都合で退職する場合は、少なくとも1年以上勤務しなければ受給できないようになりました。

「特定受給資格者」の基準

上で説明したとおり、解雇や倒産等により失業した者は「特定受給資格者」として、雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あれば、失業給付を受給できます。

この「特定受給資格者」と認められるケースとして、倒産や解雇、退職勧奨、嫌がらせ、法令違反等による離職が例示されていましたが、今回の改正により、特定受給資格者と認められるケースとして、次の2つが追加されました。

  1. 雇用契約の更新のあることが明示された期間雇用契約(1年未満)を結んでいて、労働者が希望するにもかかわらず雇用契約が更新されなかったとき
  2. 雇用保険の加入期間が6ヶ月以上12ヶ月未満で、「正当な理由」のある自己都合による離職

この「正当な理由」として、次のような場合が挙げられています。

  1. 体力不足、心身障害、疾病、負傷等による離職
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた場合
  3. 家庭の事情が急変したことによる離職(父母の死亡、疾病、負傷、家族介護など)
  4. 配偶者又は扶養親族と別居生活を続けることが困難となったことによる離職
  5. 通勤不可能又は困難となったことによる離職(結婚に伴う住所変更、事業所の移転、転勤命令など)
  6. 人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合

雇用保険の加入期間が6ヶ月以上1年未満の社員から退職の申出があったときは、離職理由によっては失業給付を受給できますので、それが「正当な理由」に該当するかどうか確認する必要があります。

育児休業給付の給付率の引上げ

雇用保険の育児休業給付には、育児休業期間中に支給される「育児休業基本給付金」と、育児休業が終了して6ヶ月経った時点で支給される「育児休業者職場復帰給付金」の2つがあります。

「育児休業基本給付金」の支給額は給与の30%、「育児休業者職場復帰給付金」の支給額は給与の10%となっていました。

今回の改正により、育児休業者職場復帰給付金の給付率が10%から20%に引き上げられ、合計の給付率が40%から50%になりました。

育児休業給付の受給期間の取扱い

失業給付を受給できる日数(所定給付日数)は、雇用保険の加入期間等よって決定されます。例として、自己都合退職の場合は次のとおりです。

加入期間所定給付日数
10年未満 90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

今回の改正により、育児休業給付を受給した期間については、この雇用保険の加入期間から除外されることになりました。

例えば、雇用保険の加入期間が10年3ヶ月で、育児休業給付を受給したことのない社員が自己都合で退職したときは、120日分の失業給付を受給できます。

一方、雇用保険の加入期間が同じ10年3ヶ月でも、この間に育児休業給付を10ヶ月受給した社員が自己都合で退職したときは、10ヶ月が除外されて9年5ヶ月となり、失業給付は90日分になります。

この取扱いは、解雇や倒産等による特定受給資格者についても同じで、特定受給資格者については、加入期間が1年、5年、10年、20年で区切られています。

育児休業給付の受給の有無とタイミングによって、失業給付の受給額が従来より少なくなるケースが生じます。

教育訓練給付の改正

これまで、教育訓練給付金を受給するためには、雇用保険の加入期間が3年以上必要でしたが、初回に限って、加入期間が1年以上あれば受給できるようになりました。

また、受講費用の給付率は、これまで

加入期間給付率
3年以上5年未満20%(上限10万円)
5年以上40%(上限20万円)

だったものが、加入期間に関係なく、一律20%(上限10万円)になりました。

なお、教育訓練給付金を受給すると、その後3年間は受給できないのは従来どおりです。

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(2007/11作成)