振替休日と代休

振替休日と代休

仕事の都合で休日に出勤してもらうことがあると思います。

そのときに、「振替休日」や「代休」を与えることがありますが、これらが区別されていないケースがよくあります。

「振替休日」と「代休」の違いについて見てみましょう。

振替休日とは

振替休日について説明する前に、「休日」とは何でしょう。法律上、「休日」とは、労働義務のない日を言います。

そして、「休日の振替」とは、あらかじめ休日としていた日と他の労働日を振り替えることを言います。正確に言いますと、休日としていた日を労働日として勤務させて、労働日としていた日を休日として休ませることです。

この「休日の振替」をして休む日のことを「振替休日」と言います。

このような措置を取った場合は、休日に勤務させたことにはなりません。例えば、ある週の日曜日と月曜日で休日の振替をした場合は、次のようになります。

日曜日月曜日
振替前休日労働日
振替後労働日(労働日に働く)休日(=振替休日、休日に休む)

休日の振替を行える条件

休日の振替を行うための条件は、次のとおりです。

  1. 就業規則に休日の振替を行う旨を定めること
  2. あらかじめ振り替える日を特定すること
  3. 法定休日の振替日は4週間以内とすること

代休とは

代休とは、休日に勤務をさせてから、後で代償として他の労働日に休ませることを言います。

事前に休ませる日を特定している場合は休日の振替(振替休日)になりますが、事前に休ませる日を特定しないで事後に休みを与えている場合は代休になります。事前に休日を特定しているかどうか、で異なります。

代休は、休日の振替のように休日と労働日が入れ替わることはありません。休日の勤務はそのまま休日勤務となります。

日曜日月曜日
予定休日労働日
実際休日に働く労働日に休む

なお、代休については休日の振替のような条件はありません。

休日の振替をしたときの割増賃金

休日の振替を行ったときは、労働日に勤務したことになりますので、休日勤務手当の支払は必要ありません。しかし、まだ続きがあります。

週休二日制で1日の所定労働時間が8時間の会社で考えてみましょう。

別々の週(就業規則で特に定めていない場合は日曜日から土曜日までが1週間の単位となります)で休日の振替を行った場合は、ある1週間の労働時間が48時間、もう一方の振替休日を与えた週の労働時間が32時間になります。

振り替えによって出勤日が増えた週は、1週40時間を超える8時間分が時間外勤務に該当しますので、25%(100%分については所定労働時間ですので、通常の賃金に含まれています)の時間外勤務手当の支払が必要になります。

一方、同じ週内で休日の振替を行った場合は、1週40時間に変更はありませんので、時間外勤務手当の支払は不要です。したがいまして、可能であれば、同一の週内で振り替えるのが得策です。

休日勤務の割増賃金

代休で処理する場合は、休日勤務になります。労働基準法では、法定休日に勤務したときは、135%の休日勤務手当を支払うことが定められています。

したがって、週1日の休日を確保していれば、法定休日に勤務させたことにはなりませんので、135%の休日勤務手当を支払う必要はありません。

ただし、法定外休日(法定休日以外の休日)に出勤して、1週40時間を超えたときは、超えた時間に対して125%の時間外勤務手当を支払わないといけません。

また、就業規則で法定外休日についても(所定休日は全部)、135%の休日勤務手当を支払うことになっている場合は、それに従う必要があります。

代休の割増賃金

次に、代休を与えた場合を考えてみましょう。

休日勤務をした日と同じ賃金計算期間内に代休を与えたときは、100%分の賃金をカットできますので、割増賃金は35%(又は25%)で処理できます。代休を与えたからといって、割増分(35%や25%)も帳消しになることはありません。

次に、休日勤務をして、次の賃金計算期間に代休を与えたときは、休日勤務をした月に一旦135%又は125%の割増賃金を支払って、翌月の賃金から100%分の賃金をカットすることになります。

そうなると、代休を取得した月は1日分の賃金がカットされることになりますので、社員は代休の取得を避けたがります。代休は前倒しでも構いませんし、できれば同一の賃金計算期間内に取得させるのが良いでしょう。

(2008/9作成)
(2014/5更新)