健康保険の限度額適用認定証とは

高額療養費とは

病気や怪我の治療のために、入院や手術をしたりして、医療費が高額になる場合があります。

そのような場合に備えて、健康保険には「高額療養費」という制度が用意されています。

協会けんぽ(全国健康保険協会)に申請をすることによって、1ヶ月(1日から末日まで)の医療費の窓口負担額(保険適用分)が、自己負担限度額を超えた場合は、その超えた金額が「高額療養費」として払い戻されます。

自己負担限度額

自己負担限度額は、次のように被保険者の所得区分によって異なります。

所得区分自己負担限度額多数該当
ア(標準報酬月額が83万円以上)252,600円+(総医療費
−842,000円)×1%
140,100円
イ(標準報酬月額が53万〜79万円)167,400円+(総医療費
−558,000円)×1%
93,000円
ウ(標準報酬月額が28万〜50万円)80,100円+(総医療費
−267,000円)×1%
44,400円
エ(標準報酬月額が26万円以下)57,600円44,400円
オ(住民税が非課税の者)35,400円24,600円

総医療費とは、医療費の総額(10割)のことです。保険が適用されない費用、差額ベッド代、食事代等は含みません。また、医療機関ごとに計算をしますので、入院、外来、薬局はそれぞれ別々に計算をします(それぞれを合計した金額ではありません)。

治療等を受けた月以前の1年間に、3ヶ月以上高額療養費が支給された場合は、4ヶ月目以降は多数該当となり、自己負担限度額が更に軽減されます。

高額療養費の計算例

例えば、1ヶ月(1日から末日まで)の保険適用となる総医療費(10割)が100万円で、所得区分が「ウ」とすると、一旦、医療機関の窓口でその3割の30万円を支払います。

その後、高額療養費を申請することによって、212,570円が払い戻され、自己負担は結果的に、87,430円となります。

自己負担限度額=80,100円+(100万円−267,000円)×1%=87,430円

限度額適用認定証

高額療養費として後から払い戻されるとしても、一時的に大きな金額を用意しないといけません。このような経済的な負担を軽減するために、健康保険には「限度額適用認定証」という制度があります。

「限度額適用認定証」と「保険証」を医療機関の窓口に提示すると、1ヶ月(1日から末日まで)の窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。

上の例で言いますと、一旦、窓口で30万円を支払っていますが、限度額適用認定証を提示することによって、窓口で87,430円(自己負担限度額)を支払って、(高額療養費として支給される)残りの212,570円の支払いが不要になります。また、高額療養費の申請手続きをしなくても良いようになります。

大きな費用負担を避けられるというメリットがありますが、面倒な高額療養費の申請手続きが不要になるというメリットも大きいです。入院や手術が必要で、医療費が高額になりそうな場合は、限度額適用認定証の利用をお勧めします。

限度額適用認定証の利用の流れ

限度額適用認定証の利用の流れは、次のとおりです。

  1. 全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部に、「限度額適用認定申請書」を提出してください。提出は郵送でも可能で、都道府県支部は保険証に記載されています。
  2. 1週間ほどしてから、「限度額適用認定証」が交付されます。
  3. 医療機関の窓口に、「限度額適用認定証」と保険証を提示してください。
  4. その医療機関での1ヶ月(1日から末日まで)の支払額が、自己負担限度額までとなります。

限度額適用認定証の有効期間

限度額適用認定証の有効期間は、申請書を受け付けた月の1日から1年間です。また、申請書を受け付けた前の月にさかのぼることはできませんので、余裕を持って申請してください。

所得区分オ(住民税が非課税の者)

自己負担限度額の所得区分が「オ」に該当する場合は、「限度額適用認定申請書」ではなく、「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を提出することになっています。この場合は、「限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されます。

70歳以上の方

70歳以上の方については、限度額適用認定証の手続きは不要です。「高齢受給者証」を医療機関に提示することによって、自動的に自己負担限度額までの支払いとなります。

ただし、住民税が非課税の場合は、「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を提出して、「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受け、医療機関に提示することになっています。

なお、70歳以上の方については、上の自己負担限度額の表とは異なる金額が適用されます。

(2016/8作成)