マイナンバーの取扱い(取得から廃棄まで)
マイナンバーの取扱い(取得から廃棄まで)
「社会保障・税番号制度」(通称:マイナンバー制度)が始まりました。
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」という法律に基づいて行われる制度で、マイナンバー法と呼ばれています。
以前に個人情報保護法が制定され、個人情報の取扱いのルールが定められていますが、マイナンバー法ではより厳格なルールが定められています。
マイナンバーの取得から廃棄まで、どのように対応、処理すれば良いのか見てみましょう。
マイナンバーの取得
利用目的の特定と明示
マイナンバーを取得するときは、利用目的を特定して、本人に通知又は公表しないといけません。後から利用目的を追加することはできませんので、その場合は、改めて利用目的を通知又は公表する必要があります。
通知等の方法としては、社内LANによる通知、利用目的を記載した書類の提示、就業規則への明記といった方法があります。
また、本人から直接書面に記載されたマイナンバーを取得する場合は、予め本人に対して、その利用目的を明示しないといけません。
このときに、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の届出事務、及び、源泉徴収票の作成事務など、複数の利用目的をまとめて明示することは可能です。
本人確認
社員からマイナンバーを取得する際は、なりすましを防止するために、法律で定められた方法によって、本人確認を行わないといけません。
「個人番号カード」を持っている場合は、「個人番号カード」1枚で本人確認が行えます。
「個人番号カード」を持っていない場合は、「番号確認」ができる書類と「身元確認」ができる書類を、それぞれ提示してもらう必要があります。
「番号確認」ができる書類は、次のとおりです。
- 通知カード
- 個人番号記載の住民票の写し
- 個人番号記載の住民票記載事項証明書
「身元確認」ができる書類は、次のとおりです。
- 運転免許証
- パスポート
- その他 顔写真のある身分証明書
なお、平成27年12月末日で雇用関係にある等、本人に相違ないと明らかに判断できる場合は、改めて身元確認ができる書類を提示してもらう必要はありません。
扶養親族の本人確認
マイナンバーを取得する際は、本人確認を行うことが義務付けられています。
税の扶養控除等申告書や国民年金の第3号被保険者(異動届)の届出をするときは、社員の扶養親族のマイナンバーが必要になります。
このときに、社員か扶養親族か、どちらが主体となって提出する書類なのかによって考え方の道筋が違うのですが、結論的には、社員が扶養親族の本人確認を行っていれば、企業が扶養親族の本人確認を行う必要はありません。
マイナンバーの利用
社会保障及び税に関する事務を行う必要がある場合に限って、マイナンバーの利用ができます。マイナンバーは、法律で限定的に定められた利用範囲内でしか利用できません。
本人が同意したとしても、例えば、マイナンバーを社員番号に利用したりすることはできません。
マイナンバーの提供
法律で限定的に定められた場合を除いて、マイナンバーの提供を求めることはできません。また、同様に、マイナンバーを含む個人情報(「特定個人情報」と言います)を、むやみに他人に提供することも禁止されています。
更に、法律で限定的に定められた場合を除いて、他人のマイナンバーを収集(メモしたり、コピーしたり、プリントアウトしたり)することも禁止されています。
マイナンバーの保管と廃棄
特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)は、法律で限定的に定められた場合を除いて、保管し続けることができません。
マイナンバーが記載された書類のうち、関係法令によって一定期間の保存が義務付けられているものは、その期間だけ保管することになります。
特定個人情報は、社会保障及び税に関する事務を行う必要がなくなって、関係法令で定められている保存期間が経過したときは、できるだけ速やかに廃棄又は削除しないといけません。
このように、マイナンバーの保管は制限されますので、廃棄又は削除することを前提として、紙の書類の場合は廃棄が容易になるよう年度別にファイリングしたり、システムの場合は不要となったマイナンバーを削除するための仕組みを構築したりすることが望ましいです。
(2017/6作成)