法令を遵守する(コンプライアンス経営)
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法律違反を行っていることの弊害
ヤル気をなくす
法律違反をしている会社が、社員から信頼を得ることは不可能です。
- 「残業をしても残業手当が出ない」
- 「有給休暇を取りたいと言っても取らせてくれない」
- 「試用期間だからと言って社会保険に加入してもらえない」・・・
こう言って嘆く社員が、「会社のために一所懸命がんばって働こう!」と考えるはずがありません。
「利益が出ないから残業手当を支払えない」、「ギリギリの人員で業務を行っているから有給休暇を取られると困る」という現状も分かります。分かりますが、社員はヤル気を失ってしまいます。
生産性が低下する
ヤル気がなくなると、仕事に創造性の入る余地がなくなり、言われたことしかやらなくなります。仕事中は、時間が過ぎるのを待っているか、単なる作業をこなすか、のどちらかになります。
「こうしたらお客さんに喜ばれるのになぁ」、「こうしたらもっと早く、正確に作れるのになぁ」、「こんな方法を試したらどうかなぁ」と思っていても、それを口にすることはありません。自分の仕事が増えるだけで面倒だからです。
また、サービス残業をさせていると、「どうせ残業したって残業手当は出ないんだから、仕事のやり方にとやかく言わないで欲しい」と、社員から言われても反論できません。
そうなると、仕事の生産性が高まることはありません。
優秀な社員を採用できない
「法律違反をしてでも社員を安く働かせたい」こう思っている社長の下で働きたいと思いますでしょうか?
これまでは他に職場がないので仕方なく働いてきたかもしれません。しかし、キッカケがあれば簡単に退職される危険があります。退職するのは働き口の見付かる優秀な社員からです。
これからは労働力人口が減少し、人手不足の時代がやってきます。もし、法律違反が表面化したら、社会的な信用も失ってしまいます。そうなると、余計に人の募集が難しくなります。
法律を守って、更にプラスアルファの魅力(技術力を磨ける、共感できる経営理念、社会貢献など)が必要な時代が来るのに、法律違反を強要する会社が選ばれることはないでしょう。
悪循環を断ち切る
- 社員がヤル気を出して働いてくれない
- 会社の利益が上がらない
- 法律違反をしないと経営が成り立たない
こういった悪循環をどこかで断ち切らないことには現状を変えることはできません。
法令遵守のテクニックの一例
労働基準法は昔の工場労働者を保護するためにできた法律で、このような人達は勤務時間が長ければ、それに比例して成果も出るという考えから、労働時間がベースになっています。
しかし、今は手よりも頭を使う仕事が多くなっていて、勤務時間が長ければ、それに応じて成果が出るという仕事は減ってきています。
仕事のできない人が残業手当を稼いで、仕事ができる人よりも手取りが多くなることもあります。しかし、だからと言って、サービス残業をさせても良い理由にはなりません。
サービス残業の対策としては、
- 残業時間の削減に取り組む
- 基本給を下げて法律どおりの残業手当を支払う
(この場合、個々の社員の同意がいります) - ボーナスを減らして、残業手当にあてる
- 変形労働時間制を導入する
- パートタイマーを採用する
- 評価制度・賃金制度を見直す
など、複数を組み合わせてやってみると、より効果的です。
サービス残業に限らず、これまで法律違反をしていて、それを合法的に変えるのですから、コストゼロではできません。多少のコストは覚悟してもらわないといけませんが、法律を使える道具にすることも可能です。
専門家の知識と知恵を借りるのが賢明と思います。
経営者の決断
正直に言うと、労働基準法を守ったら潰れるだろうという会社は結構あります。そんな会社に急に「労働基準法を守れ」と言っても無理ですので、できる所から少しずつ改善して行けば良いのです。
労働基準監督署の指導や是正勧告が入ったときは別ですが、社員との関係がギクシャクしていない職場では、時間は掛かりますが徐々に改善していくことは可能です。
まずは、経営者が「法律は守るんだ!」と決断することです。
最後の手段
もし、本当に経営が苦しいのであれば、現状の経営状態を社員にさらけ出して、社員と一緒に解決の方向を探るというのも1つの方法です。
多くの社員は経営状態がどうなのか分かっていないから、「社長だけが私腹を肥やして」と思われていることがあります。経営状態を社員に開示して謝ることができたら、ずいぶん楽になると思うのですがいかがでしょうか。