週2日勤務の従業員の年次有給休暇の付与日数
週2日勤務の従業員の年次有給休暇の付与日数
- 週2日勤務の従業員にも、6ヶ月勤務した時点で10日分の年次有給休暇を与えないといけないのでしょうか?
- 週2日勤務の従業員には、6ヶ月勤務した時点で3日分の年次有給休暇を付与していれば、労働基準法上は適法です。しかし、就業規則の規定の仕方によっては、10日分の付与が義務付けられることがあります。
労働基準法
労働基準法では、勤続年数に応じて、次の日数の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。
勤続年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
これが原則的な年次有給休暇の付与日数です。
しかし、例えば、6ヶ月勤務した時点で10日分の年次有給休暇を付与したとすると、週5日勤務の従業員と週2日勤務の従業員では、10日分の重みが違います。
週5日勤務の従業員が10日分の年次有給休暇を連続して取得したとすると2週間で使い切りますが、週2日勤務の従業員は5週間掛けて使い切ることになります。2.5倍の期間に及びます。
そのため、労働基準法では「比例付与」と言って、原則的(標準的)な従業員の1週間の所定労働日数を5.2日と仮定して、1週間の所定労働日数が4日以下の従業員については、これに比例した日数を付与することを、例外的に認めています。
なおかつ、1週間の所定労働時間が30時間未満という条件もあります。30時間以上の場合は、1週間の所定労働日数が4日以下であっても、原則的な付与日数が適用されます。
「比例付与」を適用する場合の具体的な付与日数は、次のとおりです。
週所定労働日数 (年間所定労働日数) | 勤続年数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 | |
4(169〜216)日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3(121〜168)日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2( 73〜120)日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1( 48〜 72)日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
1週間の所定労働日数が決まっていない場合は、過去1年間の所定労働日数を数えて、それに対応する区分(1週間の所定労働日数)に当てはめます。1年間の所定労働日数が216日を超える場合は、原則的な付与日数が適用されます。
以上により、1週間の所定労働日数が2日の従業員については、6ヶ月勤務した時点で3日分の年次有給休暇を付与していれば、労働基準法上は適法です。
パートタイマーや嘱託といった雇用形態は関係ありません。
就業規則
労働基準法の取り扱いは以上のとおりですが、就業規則の年次有給休暇の規定はどのようになっていますか?
就業規則に「比例付与」の表が記載してある場合は、その規定に基づいて処理しますので、週2日勤務の者には、6ヶ月勤務した時点で3日分の年次有給休暇を付与することになります。
しかし、就業規則に原則的な付与日数の表しか記載していない場合(「比例付与」の表がない場合)は、就業規則に基づいて処理するよう求められます。
また、パートタイマーでも嘱託でも構いませんが、その者に適用される就業規則がない場合は、正社員用の就業規則が適用される可能性が高いです。
どちらにしても、原則的な付与日数の表しかない場合(「比例付与」の表がない場合)は、就業規則に基づいて、週2日勤務の者にも、6ヶ月勤務した時点で10日分の年次有給休暇を与えないといけません。
労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですが、就業規則はそれぞれの会社の労働条件を(自らの意思で)定めたものです。
そのため、労働基準法で定められている労働条件より、就業規則で定めている労働条件の方が従業員にとって有利な場合は、就業規則の内容が優先して適用されます。
会社が意図していなくても、就業規則で定めてしまっている場合は、就業規則に従って処理しなければなりません。モデル就業規則や他社の就業規則を流用した場合に、よくある失敗です。
もし、週2日勤務の従業員については、6ヶ月勤務した時点で3日分の年次有給休暇を付与するよう変更したいのであれば、就業規則に「比例付与」の表を追加する必要があります。
ただし、その場合は、就業規則を不利益に変更することになりますので、対象となる従業員と話し合って、慎重に進める必要があります。
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