慶弔見舞金規程の作り方と相場|結婚・出産・弔慰金の非課税範囲
慶弔見舞金規程の作成
- 慶弔見舞金規程を作成しようと思っています。具体的な支給事由は、どのようなものがありますか?また、支給事由ごとの相場はどれぐらいですか?
- 一般的な支給事由としては、結婚、出産、死亡、家族の死亡、被災があります。
慶弔見舞金規程を作成する理由
慶弔見舞金は、支給が義務付けられているものではありませんので、慶弔見舞金規程を作成するかどうかは、それぞれの会社の自由です。
従業員の結婚、出産、死亡、家族の死亡、被災といったプライベートの出来事に際して、会社が支援をすることによって、従業員の私生活も応援したいというメッセージになります。
従業員の慶弔や被災に対して、その都度、慶弔見舞金を支給していると、会社に悪気がなくても不公平な取扱いになってしまうことがあります。
慶弔見舞金を支給するのであれば、公平で効率的な取扱いをするために、慶弔見舞金規程を作成して、支給条件や支給額、手続き等を定めておくと良いでしょう。
慶弔見舞金の支給対象者
慶弔見舞金規程を作成する場合は、まずは、支給対象者(適用範囲)を定めます。
例えば、パートタイマーや嘱託従業員に慶弔見舞金を支給しない場合は、慶弔見舞金規程を適用しないことを記載します。このような記載がないと、パートタイマー等にも支給が義務付けられます。
また、試用期間中の従業員を対象外とする場合は、その旨を記載しておく必要があります。
ただし、同一労働同一賃金の観点から、パートタイマーや嘱託従業員を支給対象外とする場合は、合理的な理由が必要とされます。それを回避するために、均衡待遇として、①職務内容、②職務内容及び配置の変更範囲、③その他の事情を考慮して、正社員の半額とするような方法も考えられます。
また、例えば、勤続1年未満の者を対象外として、全ての従業員に対して同じ条件を設定する方法も可能です。
慶弔見舞金の支給額
キノシタ社会保険労務士事務所で、これまで多数の慶弔見舞金規程を作成・変更してきました。主に中小零細企業ですが、平均的な支給額・一般的な相場を以降で示しています。
支給事由別の相場一覧
支給事由や支給額はそれぞれの会社の考え方によりますので、この金額にこだわる必要はありません。慶弔見舞金規程を作成する場合の目安程度にしてください。
| 支給事由 | 一般的な相場 |
|---|---|
| 結婚祝金 | 2万円~3万円 |
| 出産祝金 | 1万円程度 |
| 弔慰金(従業員死亡) | 5万円程度~基本給の数ヶ月分 |
| 家族弔慰金 | 1万円~5万円程度 |
| 被災見舞金 | 1万円~10万円程度 |
| 傷病見舞金 | 1万円程度 |
結婚祝金の相場と注意点
結婚祝金は、従業員が結婚したときに支給するものです。結婚祝金の金額は、2万円から3万円程度が多いです。
再婚のときは減額したり、支給しなかったりする場合は、そのように規定します。
出産祝金の相場と注意点
出産祝金は、従業員が出産したときに支給するものです。出産祝金の金額は、1万円程度が多いです。従業員の配偶者が出産したときも、同額を支給するケースが一般的です。
例としては少ないですが、第2子以降の子の出産祝金の金額を減額(増額)したり、支給人数を制限したりする場合は、その内容を定めておく必要があります。
弔慰金(従業員死亡)の相場と注意点
弔慰金は、従業員が死亡したときに支給するものです。弔慰金の金額は、5万円程度から基本給の数ヶ月分まで、会社によって幅があります。死亡事由(業務上か業務外か)や勤続年数、役職等で区分する場合は、具体的に定めておく必要があります。
なお、具体的な金額を慶弔見舞金規程に記載すると、会社はその金額を支給することが義務付けられます。初めて規程を作成する場合は、いくらが適当なのか決めるのが難しいと思いますので、最初は具体的な金額は記載しないで、会社がその都度、支給額を決定することにしても良いでしょう。納得できる金額が見付かったときに、具体的な金額を記載してください。
家族弔慰金の相場と注意点
家族弔慰金は、従業員の家族が死亡したときに支給するものです。まずは、支給対象とする家族の範囲を具体的に定めます。勤続年数や役職で区分したり、同居を条件としたりする場合は、これらも記載します。
家族弔慰金の金額は、1万円から5万円程度が多いですが、初めて規程を作成する場合は、弔慰金と同様に、会社がその都度、支給額を決定することにしても良いでしょう。
被災見舞金
被災見舞金は、従業員の住居が被災したときに支給するものです。被災見舞金については、住居の損壊の区分(全損壊、半損壊、一部損壊)に応じて支給額を決定するケースが多いです。被災見舞金の金額は、一部損壊から全損壊まで幅がありますが、1万円から10万円程度が多いです。
大規模な自然災害が起きると支給額が膨れ上がりますので、余り高額にならないように注意してください。若しくは、被災の状況に応じて、会社がその都度、支給額を決定することにしても良いでしょう。
傷病見舞金と傷病手当金との関係
傷病見舞金は、傷病のために一定期間(2週間以上など)休業するときに支給するものです。傷病見舞金の金額は、1万円程度が多いですが、その後も毎月支給を継続するケースがあります。
ところで、業務外の傷病については健康保険から傷病手当金が支給されます。支給額は賃金の約3分の2ですが、会社から賃金が支給される場合は、その分だけ傷病手当金が減額されます。
そして、傷病見舞金を毎月支給していると、実質的な賃金と判断されて、傷病手当金が減額される可能性があります。傷病見舞金は毎月支給するのではなく、一時金で支給する方法が良いです。
その他の慶弔見舞金
従業員の子が小学校や中学校に入学したときに支給する入学祝金や、従業員の子が結婚したときに支給する子女結婚祝金などがあります。
重複支給の制限
例えば、従業員同士が結婚する場合の結婚祝金については双方に支給するケースが一般的ですが、家族で複数の従業員が在籍している場合に、1つの事由につき1人にだけ支給するのであれば、重複して支給しないことを規定しておく必要があります。
証明書の添付
虚偽による申請を防止するために、申請をするときは、必要に応じて、その事実を証明する書類(招待状や案内状等)を一緒に提出してもらうようにしましょう。
就業規則の不利益変更
慶弔見舞金規程も就業規則の一部ですので、支給額を減額するなど、従業員にとって不利益に変更する場合は、原則として、従業員の同意が必要になります。
最初に慶弔見舞金規程を作成して、支給額を決定するときは、後で減額することがないように、慎重に検討してください。なお、取扱いが決まっていない部分を新しく定めることは不利益変更には当たりません。
慶弔見舞金は非課税?税務上の取り扱い
慶弔見舞金は、「社会通念上相当と認められる金額」であれば、所得税は非課税として取り扱われます。金額が社会通念を超える場合や実質的な給与と認められる場合は、給与所得として課税される可能性がありますので、高額で設定する場合は注意が必要です。
例えば、弔慰金については、相続税法基本通達3-20によって、業務上の死亡の場合は死亡当時の普通給与の3年分(36ヶ月分)、業務外の死亡の場合は6ヶ月分に相当する金額まで非課税となることが示されていて、これを超える部分は死亡退職金として相続税の課税対象になります。
出産祝金・結婚祝金は、一時金として支給する場合は、労働の対償ではなく、恩恵的な給付として、社会保険の標準報酬月額の算定対象にはなりません。
男女雇用機会均等法上の注意点
慶弔見舞金の支給に関して、男女で支給条件や支給額を変えたりしていると、差別的な取扱いとして男女雇用機会均等法違反になります。「夫」や「妻」「寡婦」といった記載がある場合は、「配偶者」に替えるなどして、男女で区別しないようにしてください。
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執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

