育児・介護の残業免除と時短勤務│要件・期間・拒否条件を完全解説

【義務】育児・介護の残業免除(所定外労働の制限)を拒否できる条件

育児介護休業法(第16条の8第1項)によって、次のように規定されています。

事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

  1. 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

小学校に入学する前の子を養育する従業員は、所定労働時間を超えて労働しないことを請求できることが定められています。要するに、残業しないことを請求できて、会社は事業の正常な運営を妨げる場合でない限り、応じないといけません。男性従業員も請求できます。

また、育児介護休業法(第16条の9第1項)によって、次のように規定されています。

前条第1項から第3項まで及び第4項の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条第1項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条第3項及び第4項第1号中「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」と読み替えるものとする。

要介護状態の対象家族を介護する従業員も同様に、所定労働時間を超えて労働(残業)しないことを請求できることが定められています。

ただし、従業員の過半数代表者(又は過半数労働組合)と労使協定を締結したときは、勤続1年未満の者、1週間の所定労働日数が2日以下の者については、請求を拒否できます。育児・介護の両方で共通の取扱いです。

これに該当しない場合は、パートタイマー、アルバイト、嘱託従業員等であっても、所定労働時間を超えて労働(残業)しないことを請求できます。期間を定めて雇用する従業員も、適用を除外することが認められていませんので、請求があれば、会社は応じる必要があります。

また、育児をする従業員が所定外労働の制限(残業免除)を請求できる期間は、小学校に入学するまでです。

一方、介護をする従業員が所定外労働の制限(残業免除)を請求できる期間については、特に規定されていません。「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」が対象とされていますので、要介護状態の対象家族を介護している間はずっと請求できます。

そして、「事業の正常な運営を妨げる場合」は請求を拒否できますが、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するかどうかは、その従業員が担当する業務の内容、業務の繁閑、代替要員の配置の難易等の事情を考慮して判断することになっています。

また、所定外労働の制限(残業免除)を請求してきた従業員に対して、小学校に入学する前の子がいること、家族が要介護状態であること、を証明する書類の提出を求めることができます。

育児・介護をする従業員は、この制度とは別に、時間外労働の時間を一定の範囲内とする「時間外労働の制限」を請求することも可能です。

どちらも残業時間を減らして育児・介護をしやすくするための制度ですが、制限の範囲が異なりますので、「所定外労働の制限(残業免除)」と「時間外労働の制限」の期間は重複しないようにする必要があります。

【義務】時短勤務(所定労働時間短縮)の対象者と拒否要件

育児をする従業員については、育児介護休業法(第23条第1項)によって、次のように規定されています。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない。

3歳未満の子を養育する従業員が申し出たときは、会社は所定労働時間の短縮措置を講じることが義務付けられています。

そして、育児介護休業法の施行規則(厚生労働省令)によって、所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とする措置とすることが示されています。したがって、その前から1日の所定労働時間が6時間以下の従業員は、制度利用の対象外になります。

また、育児介護休業法の規定には続きがあって、従業員の過半数代表者と労使協定を締結したときは、次の者について、適用対象外とすることが認められています。つまり、会社は短時間勤務の申出を拒否できます。

  1. 入社して1年未満の者
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の者
  3. 短時間勤務が困難な業務に従事する者

「3.短時間勤務が困難な業務に従事する者」に該当して、短時間勤務の申出を拒否する場合は、代替措置として、次のいずれかの制度を利用できるようにしないといけません。

  1. 育児休業
  2. 在宅勤務
  3. フレックスタイム制
  4. 始業時刻・終業時刻の繰り上げ又は繰り下げる制度
  5. 便宜供与(保育施設の設置運営、費用負担等)

また、その場合は、育児介護休業規程(就業規則)を作成して、利用可能な代替措置を定めておく必要があります。

なお、所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)については、期間を定めて雇用する従業員も利用できます。申出を拒否することはできません。

一方、介護をする従業員については、育児介護休業法(第23条第3項)によって、次のように規定されています。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する3年の期間以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を講じなければならない。

要介護状態の家族を介護する従業員が申し出たときは、会社は所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)を講じることが義務付けられています。

また、従業員の過半数代表者と労使協定を締結したときは、育児の場合と同じ条件で、適用対象外とする者が定められています。

育児をする従業員が短時間勤務制度を利用できる期間は、「3歳に満たない子を養育する労働者」と規定されていますので、子が3歳になるまでです。

介護をする従業員が短時間勤務制度を利用できる期間は、「連続する3年の期間以上の期間」と規定されていますので、少なくても3年間は認める必要があります。

また、介護をする従業員が短時間勤務制度を利用する場合は、2回以上に分けて利用できます。

(2026/3作成)


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。