育児・介護の残業免除と深夜労働禁止│時間外労働の制限を完全解説

育児・介護の時間外労働の制限(残業免除)とは【月24時間・年150時間】

育児介護休業法(第17条)によって、次のように規定されています。

事業主は、労働基準法第36条第1項の規定により同項に規定する労働時間を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。)を超えて労働時間を延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

小学校に入学する前の子を養育する従業員は、制限時間(1ヶ月につき24時間、1年につき150時間)を超えて時間外労働をしないことを会社に請求できることが定められています。女性従業員・男性従業員共に利用できます。

なお、制限時間は、法定労働時間(1週40時間・1日8時間)を基準とする時間外労働の時間ですので、会社の所定労働時間を基準とする所定外労働の時間(残業時間)とは多少の誤差が生じます。

また、介護についても同様に、育児介護休業法(第18条)によって、次のように規定されています。

前条第1項、第2項、第3項及び第4項の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条第1項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条第3項及び第4項第1号中「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」と読み替えるものとする。

要介護状態の家族を介護する従業員も同様に、制限時間(1ヶ月につき24時間、1年につき150時間)を超えて時間外労働をしないことを会社に請求できることが定められています。

ただし、育児・介護ともに、次の者については、適用を除外できます。

  1. 入社して1年未満の者
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下の者

育児休業や介護休業に関連する制度の適用を除外する場合は、労使協定の締結が条件になっている制度がありますが、時間外労働の制限については、労使協定の締結は条件になっていません。そのため、就業規則(育児介護休業規程)に適用を除外することを規定していれば、これらの者の適用を除外できます。

これに該当しない場合は、パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託従業員等であっても、時間外労働の制限を請求できます。なお、期間を定めて雇用した従業員については、適用を除外することが認められていませんので、請求したときは応じる必要があります。

また、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社は従業員の請求を拒否できますが、これに該当するかどうかは、その従業員が担当する業務の内容、業務の繁閑、代替要員の配置の難易等の事情を考慮して判断することになっています。

そして、子を養育する従業員が時間外労働の制限を請求できる期間は、上の育児介護休業法の規定のとおり、「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」が対象とされていますので、子が小学校に入学するまでです。

一方、家族を介護する従業員が時間外労働の制限を請求できる期間については、特に定められていません。「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」が対象とされていますので、要介護状態の家族がいる期間はずっと請求できます。

時間外労働の制限を請求した従業員に対して、小学校に入学する前の子がいること、家族が要介護状態であることを証明する書類の提出を求めることができます。

また、時間外労働の制限に似た制度で、所定外労働の制限という制度があります。所定労働時間を超えて労働しないことを請求するものです。

どちらも時間外労働や所定外労働を制限するもので、基本的には同じ趣旨で制限をする範囲が異なります。従業員が請求する場合は、双方の期間が重複しないようにする必要があります。

育児・介護従業員の深夜労働禁止【午後10時~午前5時】

育児介護休業法(第19条第1項)によって、次のように規定されています。

事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後10時から午前5時までの間において労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

小学校に入学する前の子を養育する従業員が請求したときは、午後10時から午前5時までの深夜労働が禁止されています。男性従業員も請求できます。

また、育児介護休業法(第20条第1項)によって、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が請求した場合も同様に、午後10時から午前5時までの深夜労働を禁止することが規定されています。

ただし、次の者については、会社は請求を拒否することが認められています。育児の場合・介護の場合ともに共通です。

  1. 入社して1年未満の者
  2. 16歳以上の同居の家族が、深夜に子を保育できる、又は深夜に家族を介護できる者
  3. 1週間の所定労働日数が2日以下の者
  4. 所定労働時間の全部が深夜の者

これらの者について、就業規則(育児介護休業規程)で適用を除外することを定めていれば、適用を除外できます。なお、深夜業の制限については、労使協定の締結は条件になっていません。

これらに該当しない場合は、パートタイマー、アルバイト、嘱託従業員など、雇用形態に関係なく、深夜労働をしないことを請求できます。また、期間を定めて雇用した者については、適用を除外できる者として認められていませんので、請求したときは応じる必要があります。

育児をする従業員が深夜労働の制限を請求できる期間は、上の規定によって、「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」が対象となっていますので、子が小学校に入学するまでです。

一方、介護をする従業員が深夜労働の制限を請求できる期間は、特に規定されていません。「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」が対象となっていますので、要介護状態の対象家族がいる期間はずっと請求できます。

それぞれを確認するために、請求してきた従業員に対して、小学校に入学する前の子がいること、家族が要介護状態であることを証明する書類の提出を求めることができます。

また、事業の正常な運営を妨げる場合は請求を拒否できますが、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するかどうかは、その従業員が担当する業務の内容、業務の繁閑、代替要員の配置の難易等の事情を考慮して判断することになっています。

(2026/3作成)


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。