フレックスタイム制

なるほど労働基準法 > 労働時間 > フレックスタイム制の清算期間の延長

フレックスタイム制の清算期間の延長

労働基準法 第32条の3第2項

清算期間が1箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が50時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第1項」とする。

【フレックスタイム制の清算期間の延長】の解説です

清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制を適用する場合は、清算期間を1ヶ月ごとに区分して、各期間を平均して1週50時間を超えない範囲内で、法定労働時間を超えて勤務させることができます。

どういうこと?

従来のフレックスタイム制は、清算期間は1ヶ月以内で設定することになっていたのですが、「働き方改革関連法」によって労働基準法が改正されて、最長3ヶ月まで認められるようになりました。

清算期間を1ヶ月から3ヶ月に延長したら、どういう影響がある?

清算期間が1ヶ月でしたら、その月内でしか労働時間を調整できません。清算期間を3ヶ月とすると、月をまたいで労働時間を調整できるようになります。

例えば、1月2月3月の3ヶ月間とすると?

1月にあらかじめ定めていた総労働時間を10時間オーバーしたとしても、2月と3月にそれぞれ5時間マイナスだった場合は、残業手当の支払いが不要になります。

清算期間を1ヶ月間としていたら?

1月に10時間分の残業手当(割増賃金)を支払って、2月と3月はそれぞれ5時間分の賃金を減額・控除することになります。

結果的には、10時間分が相殺されて、0.25倍の割増部分の支払いが必要になる。

計算上はそうですけど、実際には、従業員は5時間分の賃金(基本給)が減額されるのを嫌がりますので、総労働時間を下回るような働き方はしないと思います。結果的に、1.25倍の割増賃金を支払うケースが多くなると思います。

清算期間を3ヶ月にすると賃金は減額されにくいから、従業員は早く帰りやすいし、会社も残業手当の支払いを抑制できて良いね。

はい。それで、1ヶ月を超える場合は1ヶ月ごとに区切って、1ヶ月を平均して1週50時間以内にすることが、この規定で定められています。

1ヶ月を平均して1週50時間以内にするというのは、どういうこと?

それを超えた時間については、割増賃金を支払う義務があるということです。他の月の労働時間を減らして調整することはできません。

1週50時間を超えた残業時間は調整できないので、その月の賃金で清算して支払わないといけない?

はい。極端な例を言うと、3ヶ月分の総労働時間を全部1月に集中して、2月と3月は全て欠勤して、各月、通常の賃金のみを支払うというような方法は認められません。

過重労働になる恐れがあるから、他の月と調整できる労働時間に上限を設けているのかな。

そういうことです。1週40時間を超えて、1週50時間以内の時間だけ、他の月に回せます。

1ヶ月で言うと、何時間ぐらいになる?

1ヶ月を4週間として考えると、4週×10時間ですので、1ヶ月につき約40時間が対象になります。