定額の残業手当

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定額の残業手当

残業手当を一定額で支払っている会社があります。

労働基準法には、残業手当を一定額で支払うことを禁止する規定はありませんので、そのこと自体は違法ではありません。

労働基準法では、時間外労働をさせた時間に対して、割増しの時間外勤務手当を支払うことを義務付けています。

最低基準として定められている内容ですので、残業手当を一定額で支払っているかどうかは関係なく、これをクリアする必要があります。

例えば、毎月、残業手当を6万円の一定額で支払っていて、30時間分の時間外労働に相当する(時間外勤務手当が1時間につき2,000円)とします。

この場合でも、労働基準法に基づいて時間外勤務手当を支払っていることを確認しないといけません。

残業時間が20時間だった月は、30時間以内ですので問題ありません。しかし、残業時間が35時間だった月は、5時間分(1万円)の残業手当を加算して支払わないといけません。

前の月の残業時間が20時間だったとしても、支払い義務があります。労働基準法はどこまでも付いて回ります。

そう考えると、残業手当を定額で支払うメリットは余りないように思います。昔は残業手当の計算が面倒でしたが、今はパソコンで簡単に計算できます。

また、定額で残業手当を支払っているとしても、会社には個々の従業員の労働時間(残業時間)を把握する義務があります。

残業手当込みの賃金

上のように一定額を明示しないで、「当社の基本給には残業手当を含んでいる」という会社があります。このような場合でも、労働基準法に従って、残業手当を計算して支払わないといけません。

例えば、残業時間が20時間で、4万円の残業手当の支払い義務があったとします。しかし、残業手当としていくら支払っているのか具体的な金額を明示していないと、これをクリアしているかどうか判定できません。

万一、裁判になった場合は、残業手当を全く支払っていなかったと判断される可能性が高いです。2年前にさかのぼって、残業手当を支払わされることになります。

適法にするためには、賃金の内、残業手当に相当する金額がいくらか、具体的な金額で本人に明示する必要があります。また、残業手当を除外したときに、最低賃金を下回らないことに注意する必要があります。

残業手当を定額で支払うことについて従業員から個別に同意をもらうこと、超過したときは追加して残業手当を支払うこと、も欠かせませ ん。

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