裁量労働制の導入

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裁量労働制の導入

裁量労働制とは、

  1. 出退勤の時刻や業務の進め方を従業員に委ねて、
  2. 1日に何時間勤務しても、労使間で協定した時間勤務したものととみなす

制度です。出退勤の時刻を従業員に委ねる部分はフレックスタイム制と同じですが、労働時間の算定方法が異なります。

裁量労働制については、例えば、1日8時間と協定した場合は、実際に10時間勤務した日も、4時間しか勤務しなかった日も、いずれも8時間勤務したものとみなします。実際の勤務時間は考慮しません。

そして、みなし労働時間を1日8時間以内で協定した場合は、残業手当の支払が不要になります。経営者にとっては、魅力的な制度に見えるかもしれません。

しかし、裁量労働制は過重労働に繋がる危険がありますので、労働基準法によって、適用できる業種が限定されていたり、色々な制約があったりして、導入するのが面倒です。

万一、間違って運用していることが後になって発覚すると、裁量労働制の適用が無効になります。原則的な労働時間制度(1週40時間・1日8時間)が適用されますので、実際の労働時間に基づいて、2年前までさかのぼって残業手当の支払いが求められます。

裁量労働制を導入する場合は、十分検討してから、場合によっては労働基準監督署と相談しながら進めてください。

裁量労働制に関して、もう1つ重要な点があります。

  1. 残業手当の支払いが不要ですので、残業時間を削減しようとする力が働きません。
  2. 従業員はだらだらと仕事をするようになり、仕事の効率が落ちます。
  3. 残業手当を削減できて、短期的にはうまく制度を活用できているように見えます。
  4. 仕事の効率化が進まず、会社の競争力が弱まってしまいます。

自律的に高い目標を持って仕事をしている従業員については、心配ないかもしれませんが、そうでない者がいる職場では上のような悪循環に陥る危険があります。

裁量労働制を導入する前に、フレックスタイム制を導入して、どのような働き方になるのか観察してみるのも良いでしょう。

なお、裁量労働制を採用していても、休日労働手当と深夜労働手当の支払は免除されませんので注意してください。

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