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オーチス・エレベータ事件 事件の概要

従業員がストライキをして、一定の期間勤務をしませんでした。

この会社では、労使間で賞与協定が締結されていて、その中で、欠勤1日につき一率分賞与の150分の1を減額するという欠勤控除条項が定められていました。

会社は、この欠勤控除条項に基づいて、ストライキをした期間を欠勤として、従業員の賞与を減額しました。

これに対して、従業員が、賞与協定における欠勤にはストライキを含まないと主張して、減額分の支払いを求めて会社を提訴しました。

オーチス・エレベータ事件 判決の概要

賞与は、その支給対象期間内に現実に提供された労働の対価であって、賞与協定も実体に基づいて具体化されたものである。

賞与協定で欠勤控除の対象となるのは査定分を除いた一率分賞与に限定され、その控除比率は欠勤1日につき150分の1で、就労日数に比例して定められており、賞与が日々の労働にも対応するよう配慮されている。1ヶ月の就労日数を25日とすると、半期(6ヶ月)は150日となる。

ストライキにより現実に労務が提供されなかった場合は、賃金請求権は発生しないという一般的な考えを考慮すると、欠勤控除条項の「欠勤」には、ストライキによる不就労を含むものと認められる。

また、ストライキによる不就労を理由として欠勤控除条項を適用して、賞与から控除をしても、争議権を抑圧するものとは言えない。

賞与協定中の欠勤控除条項に従い、ストライキによる不就労の日数に応じて賞与から控除をすることは、労働組合法に違反するものでもない。

解説−賃金の全額支払の原則

賞与協定の欠勤控除条項における「欠勤」に、ストライキによる不就労が含まれるかどうかが争われた裁判例です。

賞与は労働の対価であって、欠勤による減額の割合が過大なものではないし、ストライキは一般的にも無給と考えられています。また、減額の割合から言って、争議権を抑制するものではないので、会社が行った減額は適法と認められました。

このケースでは、1ヶ月25日勤務で、半期の6ヶ月150日となり、欠勤1日につき、150分の1を減額するというものでした。就労日数に比例して定められたもので、合理性があり認められましたが、これを超えて減額するような場合は、認められない可能性が出てきます。