労働基準法違反の契約

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労働基準法違反の契約

労働基準法 第13条

この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

【労働基準法違反の契約】の解説です

労働条件として約束した内容が、労働基準法に違反している場合は、その約束は無効になって、労働基準法が適用されます。

どういうこと?

例えば、有給休暇がないことを本人が了解して入社しても、社員には労働基準法で定められた通り、有給休暇を取得する権利が生じるということです。

う〜ん。他の例は?

残業手当は月20時間分しか支払わないことを本人が了解していても、月20時間以上残業したときは、労働基準法に基づいて残業手当を支払わないといけないということです。

本人が了解しててもダメなんだ。

はい。労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律ですので、それを下回るような約束(労働契約)は無効になって、強制的に労働基準法で定められている内容に切り替わります。

要するに、社員は労働基準法で守られているということだ。

また別の例を出しますが、所定労働時間を1日10時間として、1万円の賃金を支払うと約束していたとすると、所定労働時間は1日8時間に切り替えられます。

労働基準法で、所定労働時間は1日8時間が限度と決められているから。

このときに、1日につき1万円の賃金はそのままなのか、8千円に減額できるのかということが問題になります。

賃金の額自体は違法ではないから、変わらないとすると、1万円のままと考えることもできる。

そうです。この例で言うと、時間給を千円とすることが明確になっていれば8千円に減額できるけれども、それが明確でない場合は1万円のままになります。

会社としてはそんな想定をしていないことは明らかと思うんだけど、通用しないんだね。

多くの場合、労働者保護が優先されます。これと似た例では、週40時間を超えて所定労働時間を設定している会社が少なくありません。

危なっかしい。会社も労働基準法を理解してないといけないね。

そうですね。特に、賃金(残業手当)、労働時間、休暇については、間違った取り決めをしないよう注意する必要があります。