罰金制度の禁止

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罰金制度の禁止

労働基準法 第16条

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

【罰金制度の禁止】の解説です

退職したときに違約金を支払わせたり、会社に損害を与えたときに罰金を支払わせたりすることはできません。

違約金というのは?

普通の契約でしたら、その契約どおり実行しなかったときは、違約金を定めることができます。

それが禁止されている。

労働契約で違約金を認めると、従業員は自由に退職できなくなってしまします。労働基準法では、そのような足留め策を排除する規定がいくつか定められています。

罰金はダメっていうけど、社員が車をぶつけて、その修理代を弁償させると違法になるの?

いえ、そういうのは構いません。実際の損害額に関係なく、前もって金額を決めてはいけないということです。

前もって?

例えば、「従業員が車をぶつけたときは、損害額に関係なく1万円を支払うこと」をルールにするようなケースです。「損害額に関係なく」というのがポイントで、会社が損害を受けたときに、その損害額に応じた弁償まで禁止する規定ではありません。

あっそう。じゃ安心した。

ただし、社員は会社の管理下で仕事をして、会社はそれで利益を得ている訳ですから、ある程度予測できる損害については、全額を弁償させることはできません。

どれくらいならいいの?

弁償させられるのは、不注意の程度によりますが、損害額の2割くらいが限界です。故意に損害を与えたり、飲酒運転で事故したり、通常では考えられない悪質なケースはまた負担割合が違ってきます。

ふ〜ん。

損害の弁償についてはこのとおりですが、これとは別に、違反行為を伴うときは懲戒処分を検討したり、人事評価で考慮することも考えられます。

「罰金制度の禁止」に関する裁判例

「罰金制度の禁止」に関して、留学費用の返還を求めた裁判例退職金の返還を求めた裁判例があります。