変形労働時間制の残業手当

なるほど労働基準法 > 労働時間 > 変形労働時間制の残業手当

【変形労働時間制の残業手当】の解説です

変形労働時間制を採用している場合に、正確に残業手当(時間外勤務手当)を計算しようとすると複雑になりますので、ここで解説しておきます。

普通の計算方法とは違うの?

原則的な労働時間制度の場合は、1日8時間、又は、1週40時間を超えた時間は全て時間外労働として、1.25倍の残業手当を支払うことになります。

変形労働時間制を採用している場合は、例えば、48時間の週があったとしても、その期間を平均して1週40時間以内だったら、時間外労働にはならないんだよね。

そのとおりです。それで、結果から言いますと、1年単位の変形労働時間制でも、1ヶ月単位の変形労働時間制でも、所定労働時間を超えて勤務した時間に対して残業手当を支払う方法が分かりやすくて良いと思います。

所定労働時間を超えて勤務した時間に対して、残業手当を支払う?

はい。これから説明しますけど、その方法が間違いが起きにくくて一番簡単です。

どういうこと?

労働基準法に基づいて残業時間(時間外労働の時間)計算しようとすると、次の3段階を踏むことになります。

3段階?

第1段として、次のとおり「1日ごとに計算する時間」があります。

  1. 所定労働時間が8時間を超える日(例えば9時間)は、所定労働時間(9時間)を超えた時間
  2. 所定労働時間が8時間以下の日(例えば7時間)は、8時間を超えた時間

その時間の合計が、時間外労働の時間ということね。

そうです。そして、第2段として、次のとおり「1週間ごとに計算する時間」があります。

  1. 所定労働時間が40時間を超える週(例えば48時間)は、所定労働時間(48時間)を超えた時間
  2. 所定労働時間が40時間以下の週(例えば35時間)は、40時間を超えた時間

「1日ごとに計算する時間」と重複しない?

重複している時間はカウントしませんので、1.と2.で重複している時間は除きます。最後に、第3段として、次のとおり「全期間で計算する時間」があります。

  1. 変形期間の法定労働時間の総枠を超えた時間

5つも計算してたら面倒だ。

重複している時間をミスしないで除けるかという心配もありますので、最初に言った方法で計算するのが一般的です。

何て言ってたっけ?

1ヶ月だったら1ヶ月間、1年だったら1年間を平均して、1週40時間以内に収まるよう所定労働時間を設定して、所定労働時間を超えて勤務した時間に対して残業手当を支払います。

その方法だと、たくさん残業手当を支払うことにならない?

そうなります。ですので、1週40時間をギリギリ超えないように、所定労働時間を設定するのがポイントです。

1週40時間ギリギリにすれば払い過ぎを抑えられる。